七尾旅人 : Heavenly Punk Adagio
ARTIST / 七尾旅人
TITLE / Heavenly Punk Adagio
LABEL / sony
DATE /2002
TITLE / Heavenly Punk Adagio
LABEL / sony
DATE /2002
2179。以前紹介した盤『雨に撃たえば...!disc 2』。論理的な帰結ではなく、とりあえず、才気ばしった贅沢感を示すために2枚組にしてみましたな2nd。そのおかげで、印象はぼやけて、どういう盤だったのかよくわからなくなってしまいました。個人的に。disc1の「エンゼル・コール」が大曲だなぁということで、盤全体への期待も大きかったのは事実だし、市場の反応も悪くないご様子。とにかく壮大です。大きい。尺がつかめないほどにでかい。今はこじんまりと、お髭をつけてギター弾き語りでなよなよとやっている旅人さんですけど、夢は大きくっていう時代があったわけです。10年以上前の話。全体的に楽器の音が瓦解する程度に、音圧が高められているので、もはやごちゃごちゃして、擬似シューゲイズされているようでもある。その中で、とりあえず何を歌っているのかわからないボーカル。雰囲気、とにかくブースとされた雰囲気、雰囲気、雰囲気。雰囲気の洪水。嵐。その前にたち、歌詞カードを道標に、とにかく立ち向かってみるけど、特に何か得るものがあるかというとうーんという。垂れ流しておくには、ちょっと陰鬱だし、踊れないし、好きな子とおしゃべりも出来ない程度に気になるし。ただ長く長くループしていると、それぞれの曲の個性がようやく分かりかけてくる。うんうん、Aちゃんはこんなよいところがあるね、Bさんはこんなところが魅力的だね、という。悲しい。悲しすぎる日々を増長してくれる程度にセンシティブで、とげとげしい。針が。刺さる。抜ける。でも気にならない。雰囲気。結局、雰囲気。哲学も、芸術も、雰囲気。自然も、人間関係も、雰囲気。ただひとつ、自分の思考だけは、確かな強度を背負って、やわらかなものとは違い、世界と接合しようとする点で、雰囲気ではないのである。雰囲気の音楽は、空港のために書かれた音楽だけで十分である。それ以外はいらないのだ。