クラムボン : JP
ARTIST / クラムボン
TITLE / JP
LABEL / waner
DATE / 1999
TITLE / JP
LABEL / waner
DATE / 1999
2177。90年代も終わろうとしているなか、ジェイポップを軽やかに提示しなおそうとするバンドとしてクラムボンはいた。原田郁子(鍵盤、ボーカル)、ミト(ベース、ギター)、伊藤大介(ドラム)という3ピース。ギターレス、とまではいかないが、原田さんの鍵盤に比重を置き、wikiによるとジャズやジャーマン・プログレなどを素地とするらしい嗜好でもって、リズムへの傾倒を強く持っている。ボーカルには良い意味で癖があり、オリジナリティを確保。トラックは洗練されていて、キャッチーで、跳ねて、届きやすい構造を持つ。素晴らしいバンドである。彼らがジェイポップなのか、RPGでよく使われる術ポイントなのか、彼らが専門学校時代に所属していた音楽コース「Jazz Popular」の略称なのかは知らないけれど、そのタイトルを冠したこの1stは、とにかく見事だったと思う。Carole Kingのポエジーがにおいたつ。日本はまだまだ捨てたものではない、というか黄金の90年代を最後まで、最後まで、あきらめなかったというべきだろうか。それゆえ、どこまでも日本的で、ジェイポップで、僕たちは愚直な国民性を、忘却された国民性を、唾棄すべき国民性を、便器でジャーする前に、回復し、ウンコと色とりどりの液体でごちゃ混ぜにする前に救い出した気がした。Ben Folds Fiveが月9で取り上げれ、ラジオでヒットする中、キャンペーン的にも打ちやすい状況にあったとは思う。矢野顕子を髣髴とさせるような、そのようなぽっかりと開いた女性ボーカルの枠へと飛び込んだとともいえる。万全の運命によって、万全の準備によって、万全の状況によって、クラムボンは登場したともいえる。「はなればなれ」、「パンと蜜をめしあがれ」といった、邪悪なトラックの精神性を原田さんのボーカルで奇跡的に調和したシングルは、脳髄を刺激し、われわれに期待を投げよこした。確信と革新と核心がある1枚ってのは、なかなかお目にかかることはないけれども、それをキチンとやってのけることで、少なくても僕の中では、きちんとカタログ化され、賞賛されるべき存在としてタグが付されたわけだ。世間的にも間違いなくそうだったに違いない。邪悪で、可憐。複雑で、素朴。良い盤である。といいつつ、その後の動向は追ってないのであった。