YMO : Go Home!
ARTIST / YMO
TITLE / Go Home!
LABEL / 東芝emi
DATE / 1999
TITLE / Go Home!
LABEL / 東芝emi
DATE / 1999
2195。最新テクノロジーが組み込まれているじゃん!しかも20年近く前に!という驚きをもったのがすでに10年以上前というなんだか良くわかんない感じの中にいて、俺は。細野晴臣による監修、選曲というこのベスト盤が素敵だったのは、その黄色さだけではなく、乗り越えようのないオリジンが故だった。ディスク1の軽いジングルからスタートして、いきなり'RYDEEN'をかまされたとき、時代はこの音楽にのって、運動会で入場行進した小学校時代へと舞い戻る。口笛から生まれたこの曲は、現在の日本人にとって、遺伝子レベルで刷り込まれている唯一無二のテクノ・ミュージックなのであった。ちなみに2011年だったかにNHKで放送されたスタジオライブで演奏されたと記憶している同曲を聴いたとき、その現代的解釈によってアップデートされたとはいえ、失われない遺伝子の震えというのに驚愕した。あのライブはすごかったなぁ。さて、YMOの歴史を記述するという面倒な作業は、いつか来るかもしれない全作レビューのときに譲るとして、なぜこのタイミングでこんなベストが出たのかがなかなか思い出せない。ふむ。ちなみに、YMOの諸作12枚がリマスターされて同時期にリリースされている。ふうむ。細野さんが書いたブックレットによれば「ここで僕は今世紀を最後にYMOとお別れしたいという強い気持ちを持っていいるのです。もうこれで最後にしてほしいと(笑)。そういう意味で"YMO GO HOME"という気持ちなのです」。しかしその言葉とは裏腹に、この3人が見せたその後10年の展開というのはリアルタイムで僕たちに与えられた幸福な同時代だった。おりしも世界、そして日本においても、アンダーグラウンドレベルにおいて、電子音楽が拡大、拡散し、電子化するミュージック・シーンにわれわれはうきうきわくわくしていた。その動向を何の疑いもなくキャッチしないわけではない細野・高橋によるSketch Showを2002年に聴いたとき、彼らが過去ではなく、現在であることを知ったのであった。音楽はアップデートされる、しかしその源流を作り出したものたちにとっては、なんら困難ではない進化なのであったという。おじいちゃんたちが鳴らす音楽が一番かっこよかったとき、しかもファッションレベルでかっこよかったとき、われわれの存在理由は強烈に脅かされる。YMOはまさにテクノ・ゴッドであり、その知的手段によるウィットに満ちたコミック・バンドであり、さらっと'Lotus Love'なんて名曲的名曲を書いてしまう。ニューウェーブもThe Beatlesもぶち込んだ黄色い猿たちのどこまでもポップで、さりげない文化大革命。われわれ日本人は世界に誇れる音楽家たちをようやく手に入れたのであった。