Air : Usual Tone Of Voice
ARTIST / Air
TITLE / Usual Tone Of Voice
LABEL / ポリスター
DATE / 1998
TITLE / Usual Tone Of Voice
LABEL / ポリスター
DATE / 1998
2192。帯いわく「沸き立つ気持ちを胸に秘め、たゆたう心といつもの声」。どうも。フレンチポップでもエロゲーを基にしたアニメでもない車谷浩司によるAirによる3rd。あの頃、Airの音は本当にかっこよかった。LPとの親和性がとても高かった。ギターを主軸にすえて、とにかく活発にかき鳴らすスタイルが隆盛した90年代後半。その流れの中にいながらも車谷Airが選択したのは、ダブダブしくもありつつ、とても内省的で静かな展開であった。ロウな素材で構成された録音は、当時中学生だった僕たちをいくばくかどきどきさせた。そのささやくような声も、雰囲気に適合し、もともとこのスタイルでやっていたのではないかと錯覚させた。そろそろ元気のよさではなく、斜に構えたいなぁといったちょっと調子にのった子どもたちに対して、とても「いつもの声」のやり口でもってささやかれたときに、ころっとだまされてしまうのである。M3の'Heavenly'はとても懐かしく、そのゴリリズムを偽装したベースの通低音は僕たちにその後のSchellacへの愛情を確約したように思うし、そこから笑っちゃうくらいの澄んだ解放を見せるポップネスったらなくて、いまやなんだか悲しくなってしまう。なっちゃう。M10の'Yawn'を書けたとき、Airはきちんと自らの頂点に触れたであろうし、90年代の影の影の影の部分において、正当に評価される余地など残ってないかもしれないけれど、とにかく声を大にして「名曲を書いた!」と叫ぶ権利を与えられたと僕は思う。とても良い曲である。M9の'Hello'だって精一杯である。本当に精一杯。僕がジェイポップに求める歌詞の良さという意味では、車谷さんにはそれほど感心する部分はないけれども、彼は精一杯なのだ。それが伝わる。当時の僕たちには、彼がどのような状況にあり、どのような精神状態でもって本作をリリースしたかなど知らなかった。とにもかくにも、暗い自分に酔いしれることを肯定する。そんな気分と、時代と。特別なイメージと、友人と。音楽。そして音楽と。そんな感じ。車谷さんは、検索でまったく上位にくる余地がなくなったAirという名をすて現在はLaika Came Backという名義で活動してるとかなんとか。がんばっているのだろうかな。