Royal Trux : S/T
ARTIST / Royal Trux
TITLE / S/T
LABEL / royal records / drag city
DATE / 1988 / 1993
TITLE / S/T
LABEL / royal records / drag city
DATE / 1988 / 1993
1138。以前紹介した盤(参考:1234)おそらく自分たちが自費リリースした盤です。実質的に1stみたいなものなのか、よくわからんが。Jennifer HerremaとNeil Hagertyによるローファイ思想の実践。ブルース的基盤における弱サイケデリア。まだ"Twin Infinitives"ほど神経はやられておらず、取り合えずやってみましたという感じが強い。がさついた音響効果、単純な展開、ささくれ立ったボーカル。ドラムはがちゃつき、ギターはHagertyによって蹂躙され続ける。無理してそんな音出そうとしないでくださいましぃ、という悲痛な装飾。いや、それほどでもないか。M8などは意外としんみりとした曲もやっている。これは悲痛か。この頃のアメリカ・インディーはまだぎらぎらしたノーウェーブ感覚を引きずっていたのかもしれない。しかし徐々に90年代に向けて形になっていくとき、彼らはうまくメインストリームとの融合を無意識的に探り出してしまった。それがNirvanaというかたちで爆発してしまったというわけだ。そのようななかでRoyal Truxはdrag cityという今で言えば老舗レーベルになったところで、自身をより過去の遺産へとねじれながらコミットさせていく。結果としてRoyal Truxもメジャーへと向かい、それほどぱっとしないままで活動を停止する。D.I.Y精神というものが、現在ではどのように機能し、それが永続的に続くのかはわからないが、90年代という過去から何かしら学ぶ必要はあるような気がする。そのなかにRoyal Truxもいるはずである。