Anthony Moore : Reed, Whistle And Sticks
ARTIST / Anthony Moore
TITLE / Reed, Whistle And Sticks
LABEL / blueprint
DATE / 1998
TITLE / Reed, Whistle And Sticks
LABEL / blueprint
DATE / 1998
Slapp HappyでおなじみのAnthony Moore。最近ではThis Heatの盤(参考:123456)が再発されたことでプロデを行ったMooreの名前がまた頻出するようになった。Slapp Happyの盤は実は"Casablanca Moon / Desperate Straights"という2枚コンパイルされたものを高校のころに買っていまして、そういう意味ではAnthony Mooreはそれほど最近のお付き合いということではない。この盤は1972年にハンブルグで録音されたもので、記憶との関係して機能するような、さらなる明瞭な記憶の属性を探求することが試みられた、ということらしい。長々としたMooreによる解説が載っているのだが、時間があまりないので省略します。非常にマテリアリズム的側面がありまして全99トラックがノンストップで何かを落として転がすような物となっている。粒への意識が旋律への統合性を超えて全面に浮き出している。まあ旋律など構成しようがないだろうが、おそらく72年ではこれだけ音響に対して意識的にならなかったような気もする。正直ポップス性など皆無であるように思うがカント流のReizと考えるならば、そこには普遍妥当的な美的判断は生じないのだろう(最近では無関心性の美学の乗り越えが声高に叫ばれていますが)。非常に先進的な試みだと思うが98年にリリースすると文脈が変わってくると考えられる。ぜひ音響的な意識の旺盛な電子傾向のある人々に届けたい。