Phil Kline : Zippo Songs
ARTIST / Phil Kline
TITLE / Zippo Songs
LABEL / cantaloupe music
DATE / 2004
TITLE / Zippo Songs
LABEL / cantaloupe music
DATE / 2004
1142。Aphex Twinを人力で演じるというAlarm Will Soundの盤(参考:1)以降、にわかに名前の挙がるようになったcantaloupe musicです。ミニマル・ミュージック第三世代という肩書きを与えられているBang On A Can(参考:1)を中心に、アメリカの現代のある意味でのハイ・ミュージックを伝えるのに重要な役割を果たしています。Phil Klineは80年代にThe Del-Byzanteensの一員としてノー・ウェーブに巻き込まれていました。そのつながりなのでしょう、Glenn Brancaのギター交響曲(参考:1)にも何度か参加しています。このような経緯から、個人的に関心を持つことができます。それにしてもノー・ウェーブに飲み込まれた人々は現在も実験という不定形なフィールドでがんばっている人たちが多いです。意外と精神は安定しているのかもしれません。この盤で感じ取れるPhil Klineの音楽性は決して破天荒なものではなく、きっちりと構成がとられています。なんとなく先入観からか、通して鳴っている音にミニマル・ミュージックの進行を感じてしまうが、あながち間違いでもないだろう。それに乗せて、決して抑揚のあるとはいいがたいTheo Bleckmannの歌声が披露されるときがあります。ヴァイオリンはReich関係の近作によく参加しているTodd Reynoldsです。タイトルのZippo Songsとはベトナム戦争でアメリカ兵がzippoライターに刻んだ言葉に由来するという。ベトナム戦争というのが、21世紀のアメリカにおいてもまだまだ深くコミットすべき事象であることが伺える。決してくい気味に反応するような盤ではないが、難解に堕することなく、その端正さには好感が持てる。