伊藤賢治 : Romancing Sa・Ga Original Sound Version
ARTIST / 伊藤賢治
TITLE / Romancing Sa・Ga Original Sound Version
LABEL / ntt出版
DATE / 1991
TITLE / Romancing Sa・Ga Original Sound Version
LABEL / ntt出版
DATE / 1991
1494。本当はゲームボーイの作品のサントラをばしばし紹介していきたいわけですけど、以前述べたように、そもそもリリースされることが少ないので、そうそうSFCに行かせていただきます。SFCは16ビットにあがったからか何なのか、音色も豊かになり、マイナなソフトでもサントラが積極的に発売されていたようです。あくまでも感覚ですけどね。で、やっぱり最初はロマサガ無印になるわけです。1991年発売。スクウェアのSFCソフトとしてはFF4に続く2作目です。なので本当はFFIVのサントラ紹介したほうがいいかもしれませんね。やはり植草あり、というできですから。でも一応今回はこれまで流れとして弟子のイトケンにスポット当ててますから、彼がSFCに導入されるまではやっておきたかったわけです。イトケンが全体的に手がけたものとしてはゲームボーイの『Sa・Ga 2』(参考:1)『聖剣伝説』(参考:1)に続く3作目です。正直に告白すると、僕はロマサガ無印は当時はもちろん現在に至るまでちょろっとしかやってないのですね。最近ではミンサガというかたちでリメイクされ、結構評判もいいみたいですし、やろうかなと思いますけど。如何せんちょっとやるとわかりますが、シンボルエンカウントの癖に敵の数が半端じゃない。戦闘にさくさく感がないとRPGとしては欠陥ですよね。ナラティブというか、大きなシリーズとしてのサガのよさは存分に発揮され、氷の剣とガラハドをめぐる逸話やラスボスのマサルの強さなどはよく回顧的に語られるのはご存知の通り。まあやってないので、思い出補正というものはありません。しかしのちのSFCにおけるシリーズでも引き継がれるイトケンの節がしっかりとあらわれているという意味では、純粋にいい盤だと思います。先ほど述べたようにゲームボーイに比べると当然音色は広がりも持ってくるわけで、以前述べたゲーム音楽としての純粋性も問題にややかげりが見えると思われるかもしれませんが、そこはゆってもまだまだです。ある種SFCの制限内の広がりしかありません。もちろんやや音の粒が電子音からの乖離を目指して丸くなるというのはあります。本作にかんしてイトケンが語っているように、サンプリングを用いて楽器音を現実のものに近づけるという努力がおこなわれたことからもそれは明らかでしょう。ゆえに、そういう点ではラディカルなゲーム音楽フリークがゲームボーイ音源へと向かう美学は大きく損なわれてるかもしれませんね。いい側面としては、それぞれの曲に展開が増えて、曲に起伏ができたということでしょうか。これはイトケンの場合、その後の有名曲がプログレ的展開を見せるようになる布石でもあります。本作で有名なのはゲーム史上もっともかっこいい下水道の音楽でおなじみのM22'下水道'、イトケンといえばバトルとされるほど人気の高いバトル関係M1'バトル1'M25'バトル2'、特にラスボス戦のM33'決戦!サルーイン!'でしょうか。ゲームボーイのサガ無印から引き継ぐ植草による'涙を拭いてもあります'、取り立ててこれらの曲を抜き出すまでもなく、ダンジョン、フィールド、街、不穏イベント系、せつなイベント系などなど、とどれをとっても統一感のある、しかもロマサガシリーズを通して統一感のある仕上がりになっていまして、すげえなと思うしだいです。天才なんでしょうね。本作も最近リイシューされたので、入手は容易です。名盤。