Metabolist : Hansten Klork
ARTIST / Metabolist
TITLE / Hansten Klork
LABEL / drömm records/vinyl japan
DATE / 1980/2007
TITLE / Hansten Klork
LABEL / drömm records/vinyl japan
DATE / 1980/2007
1172。このブログはvinyl japanを応援しております。以前This Heatの1stをレビューしたときに定石通りに言及したMetabolistの唯一のアルバムがこちら。この素敵なジャケ。あまりにもアウラを纏っているのです(定義的ではない言い方において)。まさかのCD化(もちろん世界初だろう)をしたのが、最近ニューウェーブ系のリイシューで力を見せるvinyl japanです。強い意志がなければこのような強気のリイシューができるわけがない、と思います。たしかにMalcolm Laneを中心とするMetabolistは本国では人気がなかったかわりに、その他の諸国、たとえば日本において評価が高かったという(ちなみにそのMalcolm Laneの盤をvinyl japanはきちんとリイシューしている)。それゆえCD化するには、ポピュラー音楽の流通が肥大化した日本以外にはありえないわけで。このブログが成立するにはその肥沃な日本という土壌なしにはありえなかったわけだ。その意味では当然の帰結としてここにMetabolistが現れる。詳しくは是非この盤を買って解説を読んでもらいたいが、たしかに音響的な歪みはThis Heat的な暗がりがある。時代的にも近い。興味深いところはこのMetabolistの音楽性が、解説にあるようにジャーマンの風に晒されているところである。M2のビートの刻みをきけばそれはすぐに了解できる事であろう。何の期待も裏切ることなく、適切に僕の想像の音を構成しているこのバンドは正直すごいと思う。再生した瞬間に、ああ、これこれ、という納得を与えてくれる作品。それはおそらく想像の範疇を捻ってしまう前衛性が全面に押し出されていないということ、すなわちなんとも奇妙に逆説的なことだが、この不遇のバンドのポップス性に理由がある。つまり、大勢に買え、といってよい(ということにしておく)。すべてを攻撃する力を与えられたとき、人は素直に体育座りをしなおすもので、まさにこの盤の前では、人間は活動を忘れ、おもむろにフロアに固着するのである。10年後のアメリカを予見していた名盤参上、である。