Sebastian Meissner / Ran Slavin / Eran Sachs : Into The Void
ARTIST / Sebastian Meissner / Ran Slavin / Eran Sachs
TITLE / Into The Void
LABEL / sub rosa
DATE / 2006
TITLE / Into The Void
LABEL / sub rosa
DATE / 2006
1159。ポーランドは2003年6月に行われたクラクフの13回目のユダヤ文化フェスティバルにおいてドイツ語教育機関ゲーテ・インスティテュートのクラクフ支部のために依頼された作品の一部が本作に収録されている。三組による合作というわけではなく、M1からM11をSebastian Meissner、M12からM19をRan Slavin、M20とM21をEran Sachsがそれぞれ担当している。Sebastian MeissnerはBizz Circuits、 Random_Inc(参考:12)といった名義でmille plateauxからのリリースでおなじみの作家で本ブログでも好感を持って取り上げている。本作ではクリカツ系のアプローチというよりも、下に溜まるノンビートのアンビエントや鍵盤を取り上げた曲、サンプリング素材をマニピュレートしたものなどさまざまなアプローチを見せている。Ran Slavinは"Clicks & Cuts 4"への参加、そして2006年に活動を再開したmille plateauxからその復帰第一弾としてDVD付きの盤をリリースしたことが記憶に新しい。MeissnerとSlavinはb.Z ToneRというユニットも組んでおり、以前紹介したcronicaのコンピ(参考:1)にも参加していました。Slavinの作風は微弱なビートにまとわり付かせた誇りのようなチリリズムといったところか。かなり押さえ気味に曲が展開している。Lietterschpichというユニットにも参加するEran Sachsも実はMeissnerとつながりがあり、彼の先にあげた別名義による盤に参加していました。Ittai Binnunというかたがクラリネットで参加しており、あわせる形でコンポーズされているため、特にラストのM21などはこの盤で相対的に叙情的であるかもしれない。曲の後半で電子主体へと霧散していくが。このように見ていくと、すべてMeissner関係者として捉えることができる。このようにMeissnerを中心にすえるのは、彼のリリース数が単純に多いということにも由来する論理に過ぎないかもしれないが、エルサレム問題に対するポリティカルな問題を音楽的に解消する態度に現れる彼の「ポストモダンな作家性」(というパラドックス)や、mille plateauxの復興において重要な位置を占めていることなど、いささかの断片的な事実から、Meissnerの活動が今後どのような広がりを持ってくるのかということに注目するのはそれほど間違った視座ではない。興味深い1枚である。