Tim Buckley : Happy Sad
ARTIST / Tim Buckley
TITLE / Happy Sad
LABEL / elektra
DATE / 1968
TITLE / Happy Sad
LABEL / elektra
DATE / 1968
1023。"Goodbye And Hello"に続いて発表された3rd。以前紹介した"Lorca"よりも断然聴きやすく、Jandek性もなくて非常に聴かせる。全曲名曲の価値があるという困った作品である。多くの人々に十分アピールするだろう。バックにおけるジャズ的流動性のある演奏も異常なる洗練によって退屈な小節感覚からも解放されているように感じられる。おそらくこの盤が作られたとき、Tim Buckleyは20代前半だと思われるのだが、豊潤なボーカルの個性とうまみ、作曲能力の高さ、などなどを考えてもやはりすごい人だったのかもしれないな、と。難解な方向、いわゆるフルージャズへの傾斜として言い表されるこの後のTim Buckleyの生き様は、人生の浮き沈みを短期間に凝縮した生き急ぐ男のあり方をそのまま落としこんなかのようである。ご存知のようにTim Buckleyは28歳で亡くなったわけですが、この盤からの残り数年における鬼気迫る数枚の盤はそれはそれで価値があるのは当然である。しかし、死の運命連鎖に片足を突っ込む手前に、本来持っている才能をいかんなく注ぎ込んだこの盤を感じる事が、Tim Buckley経験として重要な側面となるわけだ。傑作。