小沢健二 : 球体の奏でる音楽
ARTIST / 小沢健二
TITLE / 球体の奏でる音楽
LABEL / 東芝EMI
DATE / 1996
TITLE / 球体の奏でる音楽
LABEL / 東芝EMI
DATE / 1996
1024。何度も何度も「ジャズの偉大な魂に」捧げられた作品。それまでブリブリしていた小沢健二が現在にいたるまで過程において徐々に毒牙にかかっていく端緒になる盤である。25分という短い内容ながら、小沢健二ファンから強い支持を受ける1枚となっている。ちなみにLサイドが敬愛する日本の作家の一人が小沢健二である。僕自身はかつてはあまり好きではなかったのだが"Eclectc"で見せたアプローチに驚いた一人でもあります。さて、冒頭に挙げた「ジャズの偉大な魂」ということから分かるように、この盤で見せた小沢健二はジャズ然としたアプローチである。僕個人としてはジャズといえば、やはりハード・バップその他のジャズであるから、以前はこの盤のように非常に単純なメロディに解消されるものはあくまでジャズフレイバーで加工されている過ぎないと考えていたのだが、よく聴くとまあやっぱり文法が敷かれてないわけでもないのかしらん、とも思った。M2が多分結構シングル的扱いだったと思う。よく聴いた記憶があるから。M7のインストが意外とがっつり作ってあるきらびやかな楽曲で笑ってしまったが、小沢健二という人が、自身の音楽家としてのサラブレットとしての血、そしてフリッパーズ・ギターとして達成した境地、それらが複合的に重なり合ってソロのオザケンを作っているのだが、Mステでラブリーに歌っていた彼が、その奥底に眠るねじくれた主張を始めたとき、それが市場で強い影響力を持てばよかったのだが、現在オザケンが盤をリリースしても金銭的覇気がないのも事実である。それがいいという独占的性向を持つファンも多そうな作家ではあるが、それではダメだと僕は思う。売れなくてはいけない、教育的観点に立つならば。とうとう全編インストの盤までリリースしてしまったオザケン、過去の動向も含めて再評価が待たれる。