Passe Montagne : Long Play
ARTIST / Passe Montagne
TITLE / Long Play
LABEL / ruminanCe
DATE / 2006
TITLE / Long Play
LABEL / ruminanCe
DATE / 2006
1012。久しぶりのruminanCeの盤。去年リリースされたものですね。Chevreuil(参考:1)でドラムをやってるJulienの別バンドだそうです。僕の持っている上述のChevreuilの盤では、Albini先生関連の盤に見られるなかでも最上の重さに肩を並べるドラムをたたいていたわけですが、この盤で見せるのは、他のギターその他が見せる上ずりにあわせて機敏に立ち回っているプレイです。なんちゃってプログレといってもよいような、昨今隆盛しているsickroomやruminanCe関係のバンドに多い作風。かつてはこのような盤の多種多様な萌芽に浮かれていたものですが、さすがにこれほど広がるとそうもいってられなくなる。スタイルに自分の感性が適合することで、そのスタイルが総じて是であるとすることには注意を払わなければならない。超絶という形容詞が付与されることの多い「マス・ロック」的な作風は、たしかにある種の凄みと初体験の衝撃がある。しかし、無茶な手数がすべて賞賛されるわけがないし、なんとなく難しいことをやっていると看守される変拍子その他のトリックも、もはや常套手段化されてしまった場合、最終的に重要になるのは丁寧さに基づく完成度、各音が作り出す全体にいかにのりしろの部分が見えないかである。安定、展開の見事さ、などなど注目すればいくらでも評価の観点は見えてくるけれども、最終的には丁寧さである。すなわち着実な構築。表層が崩れない深淵でのがんばり。雰囲気でリリースされる昨今のこの手の盤に、それが用意されているかといえば、必ずしもそうとはいえない。表層をただ這いずり回る音楽ほどむなしく耳から抜けていくものはないのである。さて、この盤はどうだろう。悪くはない。よくもない。要所要所見せる洗練は持続せずにうやむやにされるところに大きな問題があるように思う。うんこがでるまで気張る必要がある。いろいろやってみることは評価されるときもあれば、ただ雑多に見えることもある。とりあえず、まず、一本の見事なうんこをすることから初めて見るべきだろう。もちろんあらゆる多種多様なもので胃を満たして。