Natural Dreamers : S/T
ARTIST / Natural Dreamers
TITLE / S/T
LABEL / frenetic records
DATE / 2004
TITLE / S/T
LABEL / frenetic records
DATE / 2004
1013。Jay Pellicci(ドラム)、Chris Cohen(ギター)、John Dieterich(ギター)の3人によるユニット。JayがDilute(参考:1)、ChrisとJohnがDeerhoofのメンバであるという認識でよいと思う。ベースレスということで、手数のインストではやや芯にかけるという危惧もあったけれども、丁寧さは高い。というかまだ旋律への拘泥が見られるということかもしれない。しかしギターの一本がフリーなソロへと逸脱していく場合でも、なんとなくまとまりがあるように感じられるから、かなり完全性の度合いが高いと考えてよさそうだ。この感覚は、おそらく確実に先立つ形式があるからであろう。2本のギターは完璧(とは言い切れないが)に重なる接点を常に確保しながら曲は展開していく。爪弾きのレベルにおいて、それが実現されることもある以上、これは前もってある程度しっかりと作曲されたものであるということが看取されるわけである。フリーの緊張感は常に僕をはらはらさせてくれるから好きであるのだが、適切さがない場合にやや面白くなくなってしまう。それならば、最初から最後まできっちりとコンセンサスをとって曲を構築するほうが好ましくなる。こちらは後者である程度成功しているのだろう。ときに見え隠れする牧歌性がまず間違いなくDeerhoofから引きずっているものであるという指摘をすることも可能である。これが、ストイックさの邪魔になるのか、それとも曲をより一般的な快に結びつける働きをしていると考えるのかは聴き手の態度によるだろう。僕はそのどちらでもない。それにしてもやはり、この手の表層を彩る方法論というのが、あまり僕のなかで最近有効に響かないというのも事実である。それがいくら適切に構築されていようとも。ここでなっているギターの音は、手数によって作り出される装飾のために目的化され、ドラムもリズムをまばらに生成するために後景に退いている。これでは郵便には手が届かない・・・。まあまとまりのない思考は置いといて、よい盤だと思われる、とアリバイ程度に書いておこう。この手のスタイルが好きな人には有効かつ規範的に(ややいいすぎか)響きうると思われる。