To Rococo Rot And I-Sound : Music Is A Hungry Ghost
ARTIST / To Rococo Rot And I-Sound
TITLE / Music Is A Hungry Ghost
LABEL / city slang
DATE / 2001
TITLE / Music Is A Hungry Ghost
LABEL / city slang
DATE / 2001
Ronald Lippok、Robert Lippok(参考:1)、Stefan Schneiderという3人からなるドイツはベルリンのTo Rococo Rotに、mille plateauxの'Electric Ladyland Clickhop Version 1.0'にも参加していたニューヨークのCraig WillinghamによるI-Soundのコラボ盤。 I-SoundはrephelxからリリースのあるDJ ScudとThunder And LightningやWastelandというユニットもやっているらしい。かなり曖昧な記憶だが、確かこの盤が出たときにCD屋であるウェーブの今はなき優れたフリー・ペーパー、「フライヤー」においてこの盤がとりあげられていたように思う。そこで僕はTo Rococo Rotを知ったのではないか。そのときの僕は「ポストロック」という言葉に敏感に反応しており、確かその記事を書いた筆者はTo Rococo Rotに関して、ポストロックをやっている人々のなかで期待に答える数少ないバンドのひとつ、とかなんとか書いていたように記憶している。そのころには「フライヤー」の独自路線だったか、すでに「エレクトロニカ」という市場が飽和し、拡散しているという主張まで行っていたのだが、「ポストロック」にも独特の閉塞感が記されていたのかもしれない。それらは乗り越えられて、今ではある程度共通了解として通用するようになった感のある「エレクトロニカ」と「ポストロック」だが、その一端を荷っていた佐々木敦氏を代表とするheadzの関係者が多く執筆していた「フライヤー」、タワーレコードの「バウンス」にはないよさがあったのだが。まあ郷愁はその程度にして。この盤について言えば、確かに今まで聴いてきたTo Rococo Rotの音源の中ではかなり好感触である。完成度が高く、油断がない。ロックかどうかと問われると、色々な観点から個人的にノーと言いたいが、その編みこまれた電子の構成力の高さは素晴らしい。Stefan SchneiderとRonald Lippokはそれぞれが個人でかなり良作をリリースしているわけであるから、衝突さえなければ、よいものができるのは当然である。しかしどうも今まで聴いてきたTo Rococo Rotはあまりよい手ごたえを感じなかった。という事はここで注目すべきはI-Soundの力なのかもしれない。ビートのつむぎ方が一定でなく、ダイナミックであるから、もしかしたらマニュアルなのかもしれない。そこがロック感覚を生み出すのかもね。また時に挿入される旋律がTortoiseを彷彿とさせるのかもしれない。粒感も高く、かなりいい作品です。