The Flesh Eaters : Miss Muerte
ARTIST / The Flesh Eaters
TITLE / Miss Muerte
LABEL / atavistic
DATE / 2004
TITLE / Miss Muerte
LABEL / atavistic
DATE / 2004
ちょっと前に紹介した(参考:1)ロサンジェルス・パンクの最古参、The Flesh Eatersの13枚目らしい。ジャケで女性が縄で縛られていることに軽い違和感を覚えたのだが、どうも中心人物であるChris D.ことChris Desjardinsは作家、映画監督などさまざなか顔を持っており、最近は日本映画の評論みたいな本も出していた。amazonでも売られている。その日本映画は深沢監督などを扱っているところから見ると、日本における独特のおどろおどろしさをもつ暴力映画であるようだ。そこからSM的に縄で縛るという着想が生まれたのではないか。それにしても13枚目というのはかなりすごいな。このご時世に最新作を出すというバイタリティはなみなみならぬものを感じる。それにしてもこれだけの時間が経過すると少なからずその衝動は薄れるようで、ちょっとした洗練もパンクにとってはあまりよい影響を与え得ないようだ。この盤にも強く現れているキャッチーさはパンクのあふれ出る若汁というよりも、時代にもまれた音楽的おじさんの汗であり、ギターのフレーズひとつとってみてもなんとも哀愁がただよう。リズムも穏やかだ。ボーカルは混濁し狂っている感じはまだ残っているが、そこにも歌い上げようというソウルを漂わせている。いいことなのか、悪いことなのか。このような問いが生まれるのも、自分が何かしら慣習的なまなざしを通してこの盤を体験しているからだろう。その結果積極的に推薦できなくもなる。今何を聴くべきかということ、今何をやるべきかということは各人によって異なる。