Chicago Underground Duo : 12° Of Freedom
ARTIST / Chicago Underground Duo
TITLE / 12° Of Freedom
LABEL / thrill jockey
DATE / 1998
TITLE / 12° Of Freedom
LABEL / thrill jockey
DATE / 1998
2405。以前紹介した関連盤"Chicago Underground Quartet"。シカゴを拠点とする当時はまだまだ若手だったドラマーのChad Taylor(パーカ、ヴィブラフォン)とコルネット奏者Rob Mazurek(コルネット、ピアノ、フルート)による即興がちな競演。M2M5M7ではTortoiseのギタリストのJeff Parkerが参加している。90年代のシカゴシーンの一側面として若手ミュージシャンたちのジャンルレスな演奏活動っていうのがこちらにも紹介されていて、そのなかの筆頭株だった面々が彼らを中心に集まっていたわけで、そのシーンにあこがれて、ぼくたちもシカゴジャズフェスティバルなんかを見たりしたわけだ。そこでは秋吉敏子が演奏をしていたという倒錯した事態が起きていたわけであるが。コンポーズされている曲も含めて、緊張感ある演奏が繰り広げられるが、彼らの1stとしての側面はそのフリーなやり口の中に隠されているのだろう。その後プロジェクトは先に挙げたQurtetを含め、Trio、Ensembleなどと展開していく。本作リリースと同年にはOrchestra名義でもトロンボーン奏者Sara P. Smith、ベーシストChris Lopesを加えたメンツでdelmarkから盤をリリースしている。どちらが後でどちらが先かは録音時期からほぼ同時期のプロジェクトだったことがうかがえる。みんな友達。だが時は立ち。ミックスと編集はCasey Riceが担当。今でも盤を出せば話題になるTortoiseらと違って、ポップスの土壌で勝負しないプレイヤーたちは、シーンという名のブームの拡散により参照されにくくなるけれども、決して忘れてはならない背景という意味で重要な盤である。我々いたいけな子どもたちをよくわからないスタイルへと導いてくれたのは、シカゴのよくわからないこの実力者っぽいジャズ的な雰囲気だった。そして、定期的にデュオでリリースを続けているという点では、彼らの音楽は20年近くたった今でも、地元のシーンにおいて成熟と安定を迎えてアクチュアリティを持っているのかもしれない。