Brian Eno : Apollo - Atmospheres & Soundtracks
ARTIST / Brian Eno
TITLE / Apollo - Atmospheres & Soundtracks
LABEL / eg
DATE /1983
TITLE / Apollo - Atmospheres & Soundtracks
LABEL / eg
DATE /1983
2316。以前紹介した盤"Ambient 2 - The Plateaux Of Mirror "。持っているかもっていないか分からない、そんな種類の盤に含まれるこれ。Brian Enoは誰しもが通る道で、そのときに頻繁に目にするいくつかの作品集があるわけだけど、これも入っていそうだし、だがしかし、評判自体は別に聞かないっちゃきかない。不定形な位置にある。件の名盤である"Musci For Airport"があり、そこから始まるアンビエント・シリーズに含まれていそうで、実はそうでもないというこの曖昧な関係が、少しの油断を許してしまうと、頭を混乱させてしまうのかもしれない。ジャケットの親和性と、文字通りの音楽的な雰囲気もその混乱に拍車をかける。小文字で記述されている参加者はU2の"The Joshua Tree"で共同プロデをつとめるなど関係の深いDaniel Lanoisと、兄弟であるRoger Enoの2人。両者とも、全面に(といっても小文字)名前を押し出したフル盤は本作が初めてか。気合が入っているのか、責任を分散させたいのか、Brian Enoならではの愛情なのか。なぜならば、本作は、NASA25周年記念の月面着陸ドキュメンタリーのための音楽集なのだから。Brian Enoってのは、ポップ音楽史における敬愛すべき天才ミュージシャンの1人である。いつかは"Eno,Zappa,and James"という本が書かれてもおかしくない話で、それぐらい確固たる存在だと思う。NASAが動くってのは仕方のない話でしょう。それにしても聴いたことあるようなないような曲が並んでいる。M7'Drift'までいわゆるA面でそれまでのアンビエント・シリーズからつながるものだと思う。M8からはがらりと雰囲気が変わる。ギターがとてもほがらかに響き始める。きちんとビートを刻んでいるようにすら感じる陳腐さがある。どういうわけか、M12の'Stars'で再び宇宙空間へと霧散していくが。いうまでもなくM5の'An Ending(Ascent)'は既知感の強い名タイトルとなっている。そして、それにふさわしい名曲。その既知感というのはAphex Twinの'untitled'("Selected Ambient Works Vol.II"のdisk1の3曲目、通称'Rhubarb')に起因しているのは言うまでもない。そしてZappaの遊び心とEnoの音楽性が連なるAphex Twinという物語が、僕個人の音楽的志向性を唯一正当化する論理なのだというどうでもよい話。