John Coltrane : Giant Steps / Lush Life
ARTIST / John Coltrane
TITLE / Giant Steps
LABEL / atlantic / prestige
DATE / 1959 / 1961
TITLE / Giant Steps
LABEL / atlantic / prestige
DATE / 1959 / 1961
2304。以前紹介した盤"Ascension"。not now musicの2枚組みシリーズ。どういう基準でこの2枚を選んでいるのか。1枚目は"Giant Steps"。タイトルも含めて有名な1枚。メンバーはJohn Coltrane(テナーサックス)、Paul Chambers(ベース)、Wynton Kelly(ピアノ、M6のみ参加)、Tommy Flanagan(ピアノ)、Art Tylor(ドラム)、Jimmy Cobb(ドラム、M6のみ参加)というなかなか界隈をわかす名盤請負人のプレイヤーたち。M1からハードバップとは違う疾走感あふれるフレージングとビートで最高に聴かせてくれる。俗に言うColtraneの「シーツ・オブ・サウンド」とはここで完成したといわれる。途切れなくコードを変えながら高速フレージングでソロを拭き続けるという化け物のようなやり口で、本作の全ての曲を書き下ろしたという。絶好調のChambersのダブルベースは決して控えめではない。そして、ピアノソロが終わった後に満を辞してColtraneが拭き始めたときの射精感。ムーディな世界に堕することなく常にアジテートし続ける音楽。これこそ回顧から逸脱できる数少ない現代の音楽であろう。John Coltraneの偉大なる一歩が本作で始まり、追い求めすぎてフリー・ジャズへいたるというのは何の不思議でもない。音楽におけるテクニックの必要性をまざまざと見せ付けられる。で、"Lush Life"。リリースこそ遅れたが、録音は、1957年~1958年。"Giant Steps"の前年です。メンバーはJohn Coltrane(テナー)、Donald Byrd(トランペット、M4)、Red Garland(ピアノ、M4M5)、Earl May(ベース、M1-M3)、Paul Chmbers(M4M5)、Art Taylor(ドラム、M1-M3)、Louis Hayes(ドラム、M4)、Albert Heath(ドラムM5)。ことの重要性は素人にはよくわからないが、M1-M3にあたるトリオでの演奏というのが、John Coltraneにとっては珍しいという。その後、ソロの可能性を追求するColtraneにとっては、むしろ主軸を1本に絞ったほうが、良い気がするのだが、どうもそういうわけではないようだ。やはり、ピアノとのソロ回しってのが基本になるということか。ということでB面ではGarlandが入るし、"Giant Steps"でもKellyやFlanaganという名プレイヤーをどんと導入しているわけだ。その後のColtraneと比べると、安穏で、言い方を気をつけるとしても、伝統的な類である。爆発前夜とはまさにこのこと。よくも悪くも、真っ当な1枚で、それゆえにColtraneの名盤としては弱いとされるのかもしれない。