Wynton Marsalis : Black Codes [From The Underground]
ARTIST / Wynton Marsalis
TITLE / Black Codes [From The Underground]
LABEL / sony
DATE / 1985
TITLE / Black Codes [From The Underground]
LABEL / sony
DATE / 1985
2287。ジャズピアニストEllis Marsalisを父にもち、兄弟であるDelfeayもJasonもBranfordもプレイヤーという生粋の音楽一家。Wyntonはトランペッターで、Art Blakey And The Jazz Messengersとの競演を皮切りに、1980年代より活発に活動、9回もグラミーを受賞し、その中には5年連続とかいう記録まで持っている化け物みたいなコンテンポラリーなプレイヤーのようです。当時まだ20歳。なんというモンスターなのでしょうか。本作の布陣は、リーダーであるWynton(トランペット)、兄弟のBranford Marsalis(サックス)、Kenny Kirkland(ピアノ)、Charnett Moffett(ベース、5曲目だけRon Carter)、Jeff "Tain" Watts(ドラム)という布陣。このMV時代において、ジャズってのがどの程度アクチュアリティを持っていたのか知らないし、本作がポスト・バップとかいう謎のカテゴリのもとで、なんとも癖のない軽やかな(別に良い意味ではない)録音で、伸びやかに(別に良い意味ではない)仕上げられているということで、僕は本作のよさがよくわからない。ホテルのレストランとかで鳴っているような、あまりにも無色透明である。ジャズはその時代の最先端を行く音楽だったはずで、それゆえ、50年代~60年代は最高にたぎるプレイが録音されていたし、それが瓦解してもなお、何かしでかさなければということで、やれフリー、やれエレクトロニックと、浅い知識ながらも展開していったのではなかったか。本作は80年代の最高の若手プレイヤーが、昔は良かったねと回顧するかのように、雑味なく演奏が進んでいくわけで、圧倒的に、他ジャンルにカロリーで負けているのではないか。うまいよそりゃ。完璧に弾かれている。まるで、譜面があるかのように。彼らは、うんざりしていたのかもだけど、新伝承派などといわれて60年代のプレイへと回帰しようとしたというのがお勉強的な痛切で、そりゃThe Beatlesを今、そのまま持ってきたらとがっているといわれないように、ある種の評価は受けるだろうけど、其れ以上でも以下でもない地平しか与えられない。60年代当時を知っている人が保守化したときには歓迎されるかもしれない。その結果のグラミーだろうし。それはそれでいいけど、僕にはよくわからない。一応名盤とされているのでどうぞ。