Cornelius : Fantasma
ARTIST / Cornelius
TITLE / Fantasma
LABEL / toratoria
DATE / 1997
TITLE / Fantasma
LABEL / toratoria
DATE / 1997
2184。以前紹介した盤"The First Questioin Award"。ジェイポップにとっては実り多き97年。あるいは、その同時代をもっとも多感に過ごした僕たちにとって、もっとも重要な90年代後半。世界が劇的に変わるのではないかという予感をもてあました時代に、僕たちに与えられたCorneliusの3rd。初回盤には、オレンジ色のイヤーパッドのついたイヤホンが付属していて、駄目になるまでそれをお洒落ぶって使っていた僕はもちろんパイオニアのループマスター使いなのであった。本作はCorneliusが次のニアエクスペリメンタル・ポップスへの布石とでも言うべき人生観でもって作り上げて、あまりにもドリーミンな音楽世界であり、適度に僕たちの音楽的志向性を捻じ曲げる役にはたった。本作がリリースされるのに前後して、'Star Fruits Surf Rider'がリリースされた。2枚を同時に再生すれば、1曲に聴こえますよーというあまりに子どもだましな趣向であったにも関わらず、なんとまあすごいことを考えるのだと思ったものである。それ以来、小山田さんがやることってのは、何か絶対的に未来的で、お洒落で、ミュージシャンなのであった。ラウンジっぽいアプローチから、UKロックのような'New Music Machine'、The Beach Boysから端を発するUSインディーライクな'Chapter 8'まで、とにかく当時の音楽を予感で上滑りさせながらやってのけられているわけだから。そりゃもちろん、圧倒的に洗練された次回作である"Point"から振り返るならば、ちょっと残念な裏切りをもたらすでしょうけれど、でもそれはやっぱりアンフェアである。同時代人としては。これがあったからこその、Corneliusなのである。このごちゃごちゃした、中身があるようで何もない、とにかく色々やって見ましたけれども、キチンとポップに仕上がりましたという1枚が。素晴らしいではないかね。素晴らしいのである。