Cornelius : 69 / 96
ARTIST / Cornelius
TITLE / 69 / 96
LABEL / toratoria
DATE / 1995
TITLE / 69 / 96
LABEL / toratoria
DATE / 1995
2185。以前紹介した盤"Fantasma"。2ndのレビューをせず先に3rdにいってもたという不覚。1stではまだまだ渋谷系のお洒落感とその傾向を保存していたCorneliusさんが、一方のオザケン王子との差別化を図るのかそうでもないのかな雰囲気のもと、ぐっとエッジを強めた2nd。本作に収録されているM2'Moon Walk'がミュージックステーションで流れているような時代で育った僕たちは、もちろん、それほどCorneliusを国営放送のものでも批評家のものでも「われわれマイナー」のものでもない存在として捉えてはいながらも、やっぱり何か魔力的な宇宙を泳いでいるのであった。そのときの小山田さんは、確かでかいラジカセを持って、路上的なミュージック・カルチャを演出しつつ、ヒップな客層へとその音楽を刷り込んでいった。洗練されたポップネスよりも、何かひねくれた、渋谷系の源流に漂うソフトロックのドラッグな、夢見がちな部分を強調する形でもって。ムッシュかまやつ、中原昌也、ASA-CHANG、カヒミ・カリィ、Buffalo Daughterといったなんともいえないこおばしいファミリーをトラットリアして。手法としての挑発的サンプリングなのか分からないが、とにかく有名どころを詰め込むに詰め込むやり方。しかも玄人好みの音源を持ってくるのではないやり方出。Black SabathやらThe BeatlesやらLed Zeppelinyやらを、音楽的な経緯というよりは、悪ふざけの香りでもって提示してみせるあたりが、にやりとする人もいれば、今聴いて、はあそうですか、と嘆息する人もいるっていう按配なのだから、決して名盤とはならないにしても、とりあえずCorneliusを語る上では大切な2ndには仕上がっているようには思う。別似聴かなくても良いけれど、僕にとってCorneliusは苦難と快楽をアウフハーベンした音楽ライフのなかで、一段落目の3行目くらいに重要な作家であったので、とにもかくにもささやかに頭を垂れるのである。おりゃあ。