Jaga Jazzist : One - Armed Bandit
ARTIST / Jaga Jazzist
TITLE / One - Armed Bandit
LABEL / ninja tune
DATE / 2010
TITLE / One - Armed Bandit
LABEL / ninja tune
DATE / 2010
2186。ざらついたライブ音源から導入される本作は、そのかわいらしいジャケットとは裏腹なメンバーたちの稚気を血みどろにかき集めた状態でたぷたぷとした色気を放っている。まるでFrank Zappaのそれを見せ付けられているような稚気が北欧で凝縮し、爆発し、トリップし、日本へと流れ込んできた。イケメン担当のLars Horntvethは本作リリース児においてもまだ30歳である。若い、とはもはやいえないかもしれないけれど、ここまでやってきたのだからもう十分といえば十分だ。そういえば、俺ももう30になった。Larsがこの境地に達した年齢になった俺、そもそも、多くの偉大なる音楽家たちがそこに達するまでに死んでしまったわけであるが、それはそれとして、Jaga Jazzistの話に戻そう。いまさら感もあるけれど、John McEntireがミックスを担当していたりと、よろしくやっている。この頃でもまだ、音楽の響きというものは、世界を超えて、グループ化されているのだ。俺たちが好きな音楽、俺たちが好きな響き、それは決してFrank Zappaに元素を求めるようなものではないけれど(そういう響きを持った盤を出しているからZappa先生は偉大なのだけれど)、西洋かぶれした構成上の問題点から、世界音楽的なグループの獲得に躍起になるモダンな感性は、肯定も否定もなく、ただただ快楽によって求められるのだろう。彼らの本懐は、録音されたそれとともに、ライブで見せる変幻自在、交換可能性の万能社会をメンバーの振る舞いによって体現しているところにある。日本に来たらまた見たいなぁと思わせる高揚感はTortoiseのそれに通じる。演奏するということ、それがもつプリミティブな感動を突きつける。マシーンのように冷たい正確さがポップネスによって覆されるとき、その空間は一種独特の高揚感を与えるのである。捨てたもんじゃない。早く新譜だして、来日しろと。