µ-Ziq : Tango N' Vectif
ARTIST / µ-Ziq
TITLE / Tango N' Vectif
LABEL / rephlex
DATE / 1993
TITLE / Tango N' Vectif
LABEL / rephlex
DATE / 1993
2141。過去盤レビュー。Michael Paradinasさんのキャリアのなかでも、もっとも古い1枚。Richardさまのrephlexより愛をこめて。ジャケ写はRichard自らが撮影したんだとか。なんとも仲良しな関係です。音はまだ若い感じ。インダストリアルに謎のビートをもこもこと並べ立ててはいるけど、ハイファイなのかなんなのかも分からんままに。だらーと長い尺で続いています。2001年には、2枚組完全版となってリイシューされた模様。1993年といえば、AIシリーズの真っ只中。シーンの一部がベッドルームへと閉ざさていくわけです。本作もあげにあげていくわけではない。思慮深いとさえいえるかもしれない。でも、そんな当時のシーンとはやはりちょっと一線を画しているのが、その後革命的なビートを導入し、なおかつポップネスさえ実現したParadinasの新人ぶりなのかもしれないなと思う。やはりどこか今風なんです。もちろん今の熟しきったEDM(最近はこの単語をよくみるんだけど、いつのまにIはEになったのか。たしかにEのほうが分かりやすいし、Iは時代に規定されているというのもわからんでもない。てかそもそもまったく違うものをさしているのか)において、本作は凡庸に鳴らしているのだけれど、でも当時の文脈という、多くのリスナーにとってはどーでもよい視座に立ったならば、やっぱり本作はかなり早かったんだろうなぁと思うわけです。今にも駆け出しそうな萌芽です。EDMが疾走し始めようとしているそんな予感がある。予感は、予感のままでは退屈なのだけれども、われわれはその後の顛末をしっているんだから、そういう楽しみだって出来るだろう。ちなみに、実はμ-Ziqには当初Francis Naughtonという人も参加しているユニット形式だったようで、本作でもNughtonの名前がクレジットされています。で時を同じくしてNaughtonさんは脱退したようです。そんな過去もあったんですねぇ。今も簡単に入手できるのかはよくわかりませんが、リイシュー盤なら手に入るんではないだろうか。でもそこまでして血眼になる必要があるかといえば、それは愛の所在によります。