BONNIE PINK : Heaven's Kitchen
ARTIST / BONNIE PINK
TITLE / Heaven's Kitchen
LABEL / ポニーキャニオン
DATE / 1997
TITLE / Heaven's Kitchen
LABEL / ポニーキャニオン
DATE / 1997
2139。2nd。好きな日本人音楽家の上位にいたBONNIE PINKも、いつのまにかラッパーとのコラボなどを経由して、CM曲でバンバン使われる勝ち組女子の代名詞みたいな位置へと転向し、そしてまたよくわからない位置へと落ち着いてしまった。彼女がスウェーデンのプロデューサーTore Johanssonとともに持ち込んだ擬似洋楽くさいアナログな音楽はThe Beatlesを信奉する中学生時代の僕たちをとりこにした。京都出身の彼女は、当時頭をまっピンクに染め上げ、ちょっとした黒時代(かどうかは知らんけど)を生きていたのだと思う。表題曲である名曲M1'Heaven's Kitchen'をミュージックステーションか何かで披露したことを思い出す。おそらく歌自体にさほど注力してなかったからであろう、めちゃくちゃへたくそな歌声にちょっとげんなりしつつ、でもサウンドは何が鳴ってるのかわからないジェイポップではない洋楽の響きで満足した。ほとんど歌詞は英語で書いてたらしいね、とタモリあたりが言っていたのではないか。覚えてないけど。ちなみにLサイドはBONNIE PINKにぞっこんで、僕がちょっと距離を置いた大学時代も多少追っかけていたような記憶がある。見事なジェイポップの解釈が見られる'It's Gonna Rain'、直球のインディーサウンドを落とし込んだ'Do You Crash?'、彼女のボーカルが見事に生きる英詞でかかれた'Silence'、ピアノで作曲していた当時の手法を響かせる'Mad Afternoon'、こもった音と乾いたドラムが印象的な'Lie Lie Lie'、シンプルな音作りにも関わらずここでもボーカルのセンスの良さとThe Beatles的な旋律性を見せ付ける'Melody'、エキゾチックなサウンドメイキングで作風の幅を示す'Pendulum'、リバーブのかかったピアノ弾き語り音響空間からトイ的な展開が絶妙な'Get In My Hair' 、もはや'Strawberryfileds Foever'もろぱくりなトラックメイキングでありながら、サビへの解決が気持ちの良い'Farewell Alcohol River'、そしてラストまでらしさを消失させない'No One Like You'と。驚くことに捨て曲がないという素晴らしい1枚となっているのであった。今聴いてもやっぱり良いもんなぁ。もちろんそれは、リスナーが本作に至るまでに持つバックボーンなどにも依存するのだろうけれど。少なくも僕たちにとっては直球も直球で、出会っていてよかったと思う1枚である。色あせんなぁ。