Stereolab : Chemical Chords
ARTIST / Stereolab
TITLE / Chemical Chords
LABEL / 4ad
DATE / 2008
TITLE / Chemical Chords
LABEL / 4ad
DATE / 2008
[34-71]。以前紹介した盤"The First Of The Microbe Hunters "。仲間の死を乗り越えた先に何があるというのか。Stereolabは素晴らしいユニットだった。それでも突然の出来事が突きつけられることがある。そしてその先の話である。本作は盟友 Sean O'Haganの力も借りて、作り上げた9thぐらいでさる。レーベルを長年在籍したelektraから、ニューウェーブ時代から由緒正しき4adに移して心機一転といったところか。そして、彼らは沈黙することを、休息することを決めた。決して不可思議な選択ではない。それが仲間の死に起因しているのかどうかはしらない。その後2009年に本作の裏盤とでもいうべき未発表曲集"Not Music"を出した。それで2013年現在、Stereolabの物語は中断している。そんな決断を引きずっている本作であっても、肩肘はるくとなくStereolabは陽気に、レトロな音色を配置しながら、異色のドラムループを駆使してラウンジ感満載のポップスをさらっと提示している。その何気なさが、そのいつもどおりの彼らの音楽が、とてもいとおしいし、とても暗闇を経験したとは思えない彩りを持っている。そろそろやめてもよいよ、と本作を聴けば思うだろうし、その言葉は現実的に投げかけられるまでもなく、そうなった。彼らが90年代に果たしたとてつもない役割っていうのは、メジャー領域ではないかもしれないけど、とてつもないものだった。Stereolabは核心的に新しかった。彼らはブシをまといながら、変拍子をポップスへと従わせ、音響的なアプローチにも果敢に渡来して(ニッチだったかもしれないけど)きちんと時代を受け止め、更新すらしたと思う。その残滓は本作でも聞き取ることができるだろう。のほほんと聴いていたら、へんてこりんなポップスかもしれないけど、溢れているのは、挑戦的な挑発であり、ポップスに偽装したパンクである。彼らが果たした役割、あるいは彼らが今後しっかりと聴き継がれいくために、僕たちは一肌も億肌だって脱がなきゃいけないし、やってやろうとも思う。音楽はStereolab以降、進化していない。ポップスは、過去の塗りなおし、変奏を繰り返している。Stereolab的な立ち居地は、がら空きであるのに。そこをめがけて、走り出せばよいのに。そんな2013年である。現在のシーンについて、とんと無頓着の僕が何を言ってるんだおっしゃるならば、教えてくれ。ネクスト・ミュージックを。