Greg Davis : Mutually Arising
ARTIST / Greg Davis
TITLE / Mutually Arising
LABEL / kranky
DATE / 2009
TITLE / Mutually Arising
LABEL / kranky
DATE / 2009
[52-71]。以前紹介した盤"Mort Aux Vaches"。21世紀の電子の波に乗って、極上の粒感を携えて登場したGreg Dabis。シーンはほぼ飽和化し、多くの作家たちが、いつの間にかリリースが途絶えて久しくなっている現在においても、Greg Davisは手を変え品を変え、リリースを続けている。食らい付いているという印象か。シカゴのkrankyというスローコア系の音楽を中心にリリースするレーベルから2枚目のリリースとなる本作でも、1stで見せたきらびやかさとは打って変わって、通低音を敷いて感覚をじわじわと侵食するドローンで勝負しています。全2曲、50分強の内容。マスタリングの仕事など、裏方に回ることもいとわない技術屋ならではの音へのこだわりを感じさせてくれます。またソロだけでなく、コラボレーションでリリースを重ねていくときも、比較的ドローン音響のアプローチが多いのではないでしょうか。知らんけど。そういう人脈形成をしているのかもしれません。きらびやかさよりも、一定の固定客が望めるマーケットをチョイスしたという穿った見方が当てはまるかわかりませんが、1st以降、決して目立った語られ方をしているわけではないにも関わらず、息の長い活動ができるのは、そこに戦略性があるような気がしてならない。じわじわとアナログシンセは音圧をあげ、われわれの鼓膜をしびれさせていきます。この手の音楽は、ノイズという本来ならば不快な類のものを、音響的にとらえなおすことで、醜の美学とはまた違う美しさを獲得しているわけですが、まーなんにせよ、好きな人は大好物、知らない人はそのまま墓場に葬られるといったことです。宗教的な恍惚感を現代的、ともすればSF的に演出するという意味ではピカイチな音楽形式なんですけどね。脱思考。渋いけど、座禅を組みながら、無心で浸りたくなる、そんな音の揺らぎであります。関係ないけど、ジャケデザインはTarentel(参考1)のJefre Cantu-Ledesmaです。関係ないね。