Coil : ギャルソン
ARTIST / Coil
TITLE / ギャルソン
LABEL / avex
DATE / 2008
TITLE / ギャルソン
LABEL / avex
DATE / 2008
[67-71]。以前紹介した盤"Orange & Blue "。一応今でも好きな、数少ない日本のユニットCoil。彼らが、これまで別の作家たちに提供してきた曲をセルフカバーするというよくある趣向の1枚です。ジャケの真ん中に移ってる女性が誰なのかよくわからんけど、まあ関係ないだろう。全8曲。M1「Good Day Afternoon」は初音ミクをなんとなく先駆けていたChappie(参考1)に提供された曲。M2「ザルで水くむ恋心」は森高千里。M3「イコール・ゼロ」M7「ハイブリッド愛」は杏子。M4「ハミングバード」「あなたがここにいてほしい」は元ちとせ。M5「やわらかな旋律」はBird。M6「夏はこれからだ!」は福耳。一応デビュー10周年ということらしい。結構長くやってると思っていたけど、僕たちが出会った時期は本当に彼らがデビューしたばかりだったのでしょう。岡本定義さんは、決して新感覚的な方針をとらないまでも、着実に日本の詩をよい方向に持っていたのです。それに僕たちは感応したし、思想をもらった。ストレートに。音楽にしても、偉大な人たちを吸収しつつ自分たちのブシを声とともに獲得していて、素晴らしいユニットだったわけです。過去形で語ってしまうのは、やはり僕が薄汚れてしまったからなんでしょうか。それともCoilが変わってしまったからでしょうか。中村一義にも言えることだが。本作を聴いてもさほどぴぴぴと感覚が刺激されることもない。月が綺麗な夜に聞こうと思う音楽ではなくなってしまっている。僕たちは宅録によるざらついた手触りを愛していたのか。プロツールスを導入して、なんかスタジオを手にしいれて制作を始めて以来、彼らの音楽には魂が消えてしまった。歌詞にも音楽にも。そう思ったのは僕だけだろうか。知らない。知らん。今でも1stと2ndは傑作として聴けるんだけどなぁ。で、本作についていえば、女性ボーカリストたちに提供されている楽曲集だが、彼らがセルフカバーすることで、ちゃんと彼らの「今風」の曲になっている。唯一、僕好みの、僕が知ってるCoilの曲はラストの「あなたがここにいてほしい」だろうか。岡本さんがこれまで、いろんなアルバムにばら撒いてきたCoil一流のバラード。バラード嫌いの僕が唯一言葉とともに感傷的に聴けるバラードである。もはやがんばってくださいという位置にいるユニットではないですが、もう一度、なんか心を撃つ1枚を作って欲しい。痛いぐらいのコミックバンドとして。