David Bowie : Low
ARTIST / David Bowie
TITLE / Low
LABEL / rca
DATE / 1977
TITLE / Low
LABEL / rca
DATE / 1977
1826。以前紹介した盤"The Rise And Fall Of Ziggy Stardust And The Spiders From Mars"。多分11枚目。異様なまでに多作で、とにかくリリースしまっくていた時代の色男David Bowie。彼がヘロヘロになって行き着いた先がベルリン。そこで、当時のアンダーグラウンドシーンを世界規模で綿密に構成し始めていたBrian Enoを片腕として、がちゃっと作り上げたのが本作。ちなみにM3ではIggy Popがバックをとってたりします。もはや何がしたいのか分からないような、破廉恥な全体で、ボーカルさえもほとんど放棄しているとさえいえる。後半などほぼインストである。とりあえずヒーローになったからこそ許される(正確には、"Heroes"は次だが)暴挙なのかも知れない。Bowieさんの全体像をほとんど知らないけれど、この異様さから多少なりとも推し量ることはできる。本作は、どこまでも時代の音をまとわり付かせているけれども、40分足らずでその見事な底辺の世界観を見せている。テクノ、ジャーマンプログレ、なんて言葉にはめ込まれることもなんだかほほえましいけど、音がすかすかであることをとりあえず脇に置くとして、どういう発想でこのようにコンポーズしようと思うのか、再現される対象はどの世界なのか(音楽は何かを再現するメディアではないとしても)、その辺を考えても脳髄が汚染されているとしか思えないので、今でも多感なハーブ世代をとりこにしうる可能性を秘めているのかもしれない。リズムという規制が乏しい分、悪夢的である。本作の後半を聴いて、ようやくPhilip Glassがなぜカバーしたのか理解できた。もう、好きにしてくれ、という名盤ですね。