David Bowie : The Rise And Fall Of Ziggy Stardust And The Spiders From Mars
ARTIST / David Bowie
TITLE / The Rise And Fall Of Ziggy Stardust And The Spiders From Mars
LABEL /rca
DATE / 1972
TITLE / The Rise And Fall Of Ziggy Stardust And The Spiders From Mars
LABEL /rca
DATE / 1972
1788。5th。いわゆるポップス史に残る、ただの名盤。個人的には、David Bowieという作家への飛び石がなく、これまで行き着くことがなかった。リープするにしても、それほど惹かれる要素があるわけでもなかったし。ただ、本作だけは、かなり前から聴いておくべきリストの上位に入っていたわけで。「コンセプトアルバム」の魅力は、その作品性への志向にあるというのが中学時代からの持論であり、ただヒット曲を適当に混ぜ合わせて寄せ集めたアルバム形態を商業主義だと断罪した若かりし僕の気持ちは、今も決して揺らいではいない。ミスターチルドレンのベスト作は今でも変わらず『深海』なのである。今ではバンドルされたアルバム形態時代が解体される時代である。曲は切り売りされる。まとまりとしての盤文化は、ネット時代に解体されてしまった。そのそもアルバムという単位なんてのは、商業的に成立した単位であり、時代は自己編集へとシフトしているのだから。それを何とか理由をつけて、正当化する唯一の手法が「コンセプトアルバム」なのである。その必死さが、いとおしい。英詩を解そうともしない僕がいうのは、ほぼ全面的に正しくないけれど。本作は、BowieふんするZiggy StardustがThe Spiders From Marsを引き連れて、平家物語さながらの感性をぶち込めている。グラムロックというスタイル性は、音楽の純粋性を信じる(といいつつ、外的ファクタにかなり引きずられるのが人間のサガだ)僕にとってなんら魅力を持たないけれど、本作の芳醇なポップスへの魂は、当時の大英音楽帝国をしっかりと背負っている。The Beatles的であり、Roy Wood的であり、Costello的であり、その他もろもろ的である。ウタを信じている感。恥ずか気もなく、大メロばかりである。赤面しそうになる。彼は、名曲だけを大きな物語にのせた。だから本作は名盤なのである。ゲイ100人が選ぶベストレコードで第一位を獲得したほか、ランキング関係では例外なく上位のけつに食い込むパンツ宇宙に、嘘偽りはない。