Pell Mell : (1982) It Was A Live Cassette
ARTIST / Pell Mell
TITLE / It Was A Live Cassette
LABEL /indoor / starlight
DATE /1982 / 2001
TITLE / It Was A Live Cassette
LABEL /indoor / starlight
DATE /1982 / 2001
1803。以前紹介した盤"The Bumper Crop"。500枚限定リリースらしいけど詳細は良く分からない。一応ジャケや収録曲から、初期ライブ音源を収録したカセットのリイシューだと思われる。この頃のメンバはJon-Lars Sorenson(ベース)、Bob Beerman(ドラム)、Bill Owen(ギター)という3ピースなんだろうか。Steve Fiskがどこまで噛んでいたかは分からないけれどプロデにはしっかり名前がクレジットされている。聴けば分かるけど、早すぎる。僕たちが2000年前後に興奮して聴いていたインストを、82年にあっさりと体現しているという。その渇き具合。サーフっぽいっちゃサーフっぽいかもしれない。"The Bumper Crop"のレビューで言及したFive Styleもそうだっだように。曲ごとに若干の展開不足はあるものの、全体を見たときに、その多様なアイデアは若かりしという言葉からもっとも遠い。プレイに情熱はあるけど、遊びがない。集中しているように感じる。ジャズのようなあおりあいではなく、もう少しルールのある競技である。短距離のようなせめぎあいを感じる。エレクトロニックではあるけれども、誤解を恐れずに言えば、音がかなりマテリアル感を秘めており、ほぼアンプリファイされていない。「ポストロック」。そんな言葉が浮かぶ。貧弱ではあるけど、僕たちが愛した言葉。21世紀を待たずに拡散していった言葉。Tortoiseのみに許される形容。実際問題として、Pell Mellの実践にポスト的な要素は少ない。ただのインストといってしまっても良いかもしれない。サーフの亜種として鼻で笑われそうだ。時にギターが歌いすぎることがあるし。ベースとドラムのマテリアル感が意識化されていないのも仕方ない。しかし、それだけでは済ましたくないほとばしりがある。どんな潮流にも乗っからず、どんな飛び石に乗っていたかも曖昧にするほどの到達をPell Mellは獲得している。まさに異端、まさにカルト。ただ10年以上先の未来を見つめていたというだけの。勝手にそう想像しても悪い気がしない力を持っているというだけの。リイシューされた時期が何かを物語っているような気がしてしょうがない。