Captain Beefheart ＆ His Magic Band : Safe As Milk

ARTIST / Captain Beefheart ＆　His Magic Band
TITLE / Safe As Milk
LABEL / buddah records
DATE / 1967

1776。以前紹介した盤"Doc At The Radar Station"。実質的な1stフル盤。当時のマジックバンドのメンバは、Alex St. Clair Snouffer（ギター）、Jerry Handley（ベース）、John French（ドラム）。そしてサポートにはRy Cooder（ギター）などの名前。プロデはBob Krasnow、Richard Perryという二人。2010年12月17日にこの世を去った鬼才Captain BeefheartことDan Van Vliet。僕の大学時代、音楽を志す人間の多くが彼の名を上げたというあまりにもミュージシャンズ・ミュージシャンな存在であった。さらにいえば、Frank Zappaという似たような人間を友人として持ったために、常にその関係性に絡めとられる運命にあった。大きな1枚とされる盤は、多少CD屋を散策する趣味を持つものなら誰もが見たことがあるに違いない"Trout Mask Replica"しかないであろうし、その点ではもしかしたらただの寡作でマイナな人物と思われるかもしれない。しかし、舐めるなと。このブルース魂とR＆B身体を。ともかくねっとりと演奏を聴かせ、人種的に乗り越えられない部分を声をだみらせて突っ走ろうとする姿勢を見ろと。まだ前衛性なるものは棚上げされているから、その部分には期待しないよう。ただただ60年代のたぎり、プロミュージシャンたちの心身にドープしていくのだ。もしかしたら映画の影響で一時はRy Cooderのほうがメジャだったんではないかという心持は置こう。うまい絵が描ける人間のみ、そこから逸脱することが許されるということを証明するかのような1枚であることは間違いない。とにかくスタイルを突っ込む。バラードだってちょっとサイケっぽいものだって。なんだってできる。だって天才なんだから。