Tortoise : Beacons Of Ancestorship
ARTIST / Tortoise
TITLE / Beacons Of Ancestorship
LABEL / thrill jockey
DATE / 2009
TITLE / Beacons Of Ancestorship
LABEL / thrill jockey
DATE / 2009
1632。myspace。バンド単体の公式フル盤としては" It's All Around You"以来5年ぶりとなります。5年って長いですよね。すごく長い。それなのに、それほど待った気がしないというのも事実。僕個人を取り巻く環境のなだらかさがそうさせる所以なのかもしれない。切ない。刻まれた感覚、と剥がれる心持。それはいいとして。Tortoiseはどこへ行くのか。というか、もはや彼らが自分たちをアピールするには何をなすべきなのか。もはやすべてが達成の蛇足として響かざるを得ないのではないか。前回はヴォーカルまで入れて何かしらの領域に踏み込もうとしたTortoise。彼らの構成会議が目に浮かぶようである。「次どうする?」「俺たち自身の方向性と周囲が求める幾分美化された方向性をどのように折り合いをつけながら纏め上げるかが問題だと思う」「大胆なことをしなければ表面的な変化としてわかりやすく響かないからね」「前回はヴォーカルを入れてみたがあれは成功だったのだろうか」「ある程度の食いつきはあったし話題の一文は埋めたのではなかろうか」「じゃあ今回はどうするよ」「大胆な電子の導入とか」「それはある種俺たちの規定路線でもあるわけだが」「そーだすなぁ」とまあ適当に考えてみたり。本作でTortoiseは何がしたかったのか。あるいは、Tortoiseはなぜ本作をリリースしたのか。そのような理由がどうしても求められてしまうのがTortoiseのかわいそうな宿命だといえる。そんなどうでもいい疑問をアナルに詰め込んでおくとするならば、本作は十分Tortoiseの盤として聴くことができる。かなりポップスの装いをまといながら、その真相は決して明瞭ではない。存分に邪悪であるといえる。やや音がピエロな部分もあるけれども、甲羅は厚い。それだけで、Tortoiseを愛する僕たちは満足できると思う。ただ、僕は、この盤を思い出の鼓膜に刷り込むことはできそうにない。それこそが僕個人が抱えるどうしようもない難聴なのだと思う。まだしっかり聴いていないが、いい盤だと思う。Lサイドの反応が待たれる。