David Vandervelde : The Moonstation House Band
ARTIST / David Vandervelde
TITLE / The Moonstation House Band
LABEL / secretly canadian
DATE / 2007
TITLE / The Moonstation House Band
LABEL / secretly canadian
DATE / 2007
1612。myspace。secretly canadianらしい歌モノですけれども、昨今ではまずらしい、一人で何でもやっちゃいましたようふふな盤です。多分1stでしょうか。シカゴ出身のDavid Vanderveldeさん、いくばくかのサポートはもちろんありますけれども、ボーカルに加えて、プロデュースと録音はもちろんのこと、ドラム、鍵盤、ギター、ベース、シンセ、テープと何でもかんでも一人で背負いこむという、90年代にはひとつの手法と化したDIY精神をこの現在によみがえらせるという。あるいは、むしろ、このご時世、ユビキタスな表現の場が提供されたこと、あるいはそれへとコミットすることが遥かに容易になったことによって、われわれはすべてを一人でやることが暗に<強制>されているとさえいえるかもしれない。ホモソサエティとはすでに失われた理想郷であって、それはわざわざ仮想的時空へと溶け込まなければ成立しないという。いや、それでも、そのようなユートピアが仮想的にであれ、われわれが概念的にも感性的にもインターフェースを通じて感受できるというのは素晴らしいことなのかもしれない。何でもいいけどね。さてさて、このVanderveldeさん、なかなか大時代的なものを回復させようとしていることが分かる。録音の仕方からしても70年代を感じさせる。あえてのチープ感ではなく、限界へ挑戦した結果のチープさとでもいいますか。ストリングスの感じとかね。旋律の構築のしかたもそう。大きな物語を信じていることが伝わる。東西の偉大なるBをはじめとした...いいと思う。どたどたドラムにぱぱコーラス。いくらすでに凡庸で、死んだ隠喩であったとしても、その意気込みが僕に勇気を与えてくれる。中学時代の僕に届けてあげたい。でもそのわりにジャケの白貫けがお洒落感の演出でだまし入ってるな。一応ソフトサイケな印象を与えてはいますけどね。