相対性理論 : シフォン主義
ARTIST / 相対性理論
TITLE / シフォン主義
LABEL / みらいrecords
DATE / 2008
TITLE / シフォン主義
LABEL / みらいrecords
DATE / 2008
1604。myspace。遅ればせながら、相対性理論を。Lサイドがボロ臓器のボロ造機なボロ雑巾になりながらはたいているなか、すべてをすれっからしているなか、ほんの少しの(いやどの程度かは知らんが)光を見取ったのが相対性理論。まあ奴は基本的に目が悪いのだが。今更ながらですが、相対性理論はやくしまるえつこ(ボーカル)、真部脩一(ベース、作詞作曲)、永井聖一(ギター)、西浦謙助(ドラム)という布陣で、ライブ活動以外はほぼメディア露出がなく、ネット時代が生んだユニットということで注目されるわけだ。一応インディーズ扱いになるのだろうか。ネット時代の音楽流通における画期的な点は、万人が作家となって作品を発表できる、ということである。しかしそこに介在する問題は、受容者と作り手が近すぎる、ということに他ならない。信頼できる媒介者が不在となる可能性が高いのである。良くも悪くも、われわれ素人は何らかの光彩に引き寄せられるが、そこでの粗さをスルーしてしまう。もちろん媒介者がいることで光彩自体が塗りこめられてしまうこともあるから、長短さまざまなわけであるが。相対性理論の場合、光彩はあるが、やはり粗い。粗すぎて不快感もともなう。これをフィニッシュドとして、他の多くの糞だが完成度は高いジェイポップと並べたとき、どちらが優れているか、と僕はもはや言うことができない。例えば、相対性理論で注目すべきはベーシストが作詞作曲をしているという点である。そして本作を聴くとベースが主張しすぎだと感じる部分が意外と多い。これは穿った見方かもしれない。ミックス作業は別の人間がやってるしね。ただベースと他の音がぶつかりごちゃった部分がある。複雑だがすっきりしていることが重要である。さらにこれはよく言われているようだが、信頼すべき媒介者がいたならば、絶対にコーラスであれなんであれ男性ボーカルを挿入することを却下したろう。すべてが台無しだ。さて、文句はこのくらいにして、あとはほめよう。本作はEPで全5曲。昭和歌謡のフレイバを椎名林檎ほど前景化せずに、消化しているあたりが味噌。歌詞はSF日常で好み。僕は中学時代、待つのがつらいからゲームボーイをしていたし、今ではコントレックス箱買いなわけだから。本作においては、やはり「スマトラ警備隊」と「Loveずっきゅん」(サビ以外歌詞はよくない、あと終盤のエコー部もいらんだろう)が白眉で、「夏の黄金比」が上々。「Loveずっきん」はitunesに入れといた。残りの曲は何も聴くな。われわれは誰しも例外なく小学校に岩波文庫で相対性理論を読むわけだから、このバンドがジェイ<ポップ>へと進化する可能性がある。それにはまず、精度を上げろと。ポップスとは、完成度が大前提なのである。そんでもって、ラブずっきゅんだね。