Kristuit Salu vs. Morris Nightingale : My Mines I
ARTIST / Kristuit Salu vs. Morris Nightingale
TITLE / My Mines I
LABEL / merck
DATE / 2002
TITLE / My Mines I
LABEL / merck
DATE / 2002
1547。merck補完計画。いわゆる早熟の天才と言いますか。本作はたった1人の男の戯れによって内部分裂した2つの名義のせめぎあいによって構想されています。その男の名はJimmy Edgar。現在はwarp recordsと契約し、ある種の電子世界でのゴールに到達したともいえるかもしれない。もちろんwarpに過剰なステータスを与えるのはいかがなものかとも思うけれども(当のwarpのことを愛するがこそこの感情は生まれる)、それでも狭いマーケットとはいえ、warpに居場所を獲得するのは容易ではないことであるのも事実。本作を発表したときJimmy Edgarは18歳です。そして本作で見せるのは異常に洗練されたmerck水準。電子世界の平均年齢がどの程度のものなのかわかりません。コミットしやすさ(現在ではある程度ブルジョワ的な経済性を要求するが)、そして領域自体が若いことを考えると18歳というのは決して若すぎることはないのかもしれない。とはいえ、この1個の才能が見事に比較的広い区画においてマーケットに顕在化したというのは、それなりに理由があるわけで。なぜ名義を分けているかといえば、聴いた感じだと、Kristuit Saluは音の粒子を繊細に配置するタイプで、Morris Nightingaleはビート遊びに耽溺するタイプと言えるだろう。この両面性は実際に電子世界の大きな2側面でもあるわけで、それを切り分けて提示していることに一定の評価が与えられてしかるべきかもしれない。もちろん一方で、その境界を混ぜ合わせるような存在であるAutechreみたいなのもいるわけで。M6のように本作でも揺らぎ的な曲もある。多分warpからのJimmy Edgar名義による盤は試聴したと思うけれど、そういう方向性ではなかったんじゃなかろうか。違うかもしれないが。ともあれ、今後どのように展開するかが期待される存在なんでしょう。merckからのプリントは2000枚限定ですけれど、有名になれば本作もどっかからリイシューされるでしょう。