Henry Cow : Unrest
ARTIST / Henry Cow
TITLE / Unrest
LABEL / virgin / ReR megacorp
DATE / 1974/1999
TITLE / Unrest
LABEL / virgin / ReR megacorp
DATE / 1974/1999
1431。解説によれば本作はマスターテープが保存されていたため、east side digital盤においてすでにオリジナルに近かったらしい。しかし音量レヴェルなどが気に食わなかったこと、そして自分たちのレーベルからリリースしたいという気持があったという。いい忘れていたが、ReR MegacorpはHenry CowメンバのChris Cutlerが中心となって運営されている。ここで言うまでもないかもしれませんが、日本で言う「レコメン系」という言葉を説明しましょう。といってもあまり詳しくないので間違っているかもしれません。最近では一般に介錯していない感じもありますが、Henry Cow周辺を洗うには大切なタームです。簡単にいうともともとCutlerが自身の盤を流通させるために1978年に立ち上げたrē recordsというのがあり、そこからさらに他のバンドの盤をリリースするために recommended recordsが生まれ、そして1988年以後からReR megacorpになったわけですね。日本でレコメン系の盤を扱っているディストリビューターとしてはロクスソルスが有名ですね。さて本作は一般的にHenry Cowの代表作といわれています。2ndがそのように認定されるというのはなかなか珍しいと思います。Henry Cowぐらいになると、全部傑作扱いでもいいのですが、そうも言ってられないので(Sonic Youthはどうなんだというお叱りを食らいそうだが)本作に傑作タグを付けときます。メンバは1stの頃にいたGeoff Leighが脱退し、かわりにやっぱりChris CutlerつながりでLindsay Cooperが加入しました。オーボエ・フルート奏者であった彼女はクラシック音楽を素養として持ち、これがHenry Cowの目指すべき現代音楽的アプローチと合致します。ロックと現代音楽といえば、Zappaもそうですが、なんとも前衛的なイメージが付与されカクイイ!と思ってしまいます。しかしよく考えるとわざわざ西洋的クラシック(の末期)を取り込むことはなかなか保守的だともいえます。実際ロックも西洋音楽なわけですけども。現代音楽という言葉もそのように考えてよいか微妙な部分がありますけど。いつものように内容に関する記述は薄くなりますが、本作はバスーンやオーボエといったCooperによる新しい音色の導入もあって、さらに室内楽的様相を強めている。曲はさらに複雑化し、1stのようにわかりやすいものではなくなっている。これは本作が前半がコンポジション、後半がインプロを基礎にしたスタジオ編集楽曲によって製作されているというということに由来する。しかしバランスが見事で、全体を通して眉をひそめるような何じゃこれ感は皆無であるからすごい。ロウなインプロ録音で済まさなかったところに彼らのポピュラー音楽の担い手としての気配りがあるわけです。ラストもラスト、しっとりとしたボーカル曲にいたるまで、芳醇すぎる演奏と楽曲のなかに身を浸しましょう。見事なコース料理が供されたのと同様の満足感があるはずです。あんなにも高水準の期待をさせた上で、それをまったく裏切らない残念すぎる名作なのでした。聴け。あ、そうそう、本作はRrobert Wyatt、そしてGuru Guruの初期メンだったUli Trepteの両名に捧げされています。そう考えると70年代ながら、Henry Cowもなんとなく若手に感じるから不思議ですね。