Henry Cow : Legend
ARTIST / Henry Cow
TITLE / Legend
LABEL / virgin / ReR megacorp
DATE / 1973/1998
TITLE / Legend
LABEL / virgin / ReR megacorp
DATE / 1973/1998
1430。さてこれから3日間、Henry Cowを特集します。しんどそうです。では早速。解説を参考にした前置きから。Henry Cowの盤の一連のリイシューは一度1991年にアメリカのeast side digitalというところからなされていますが、すでにマスターテープがなくなっているために、いろいろ補完してミックスしなおされたそうです。不評だったらしい。他方ReRからのリリースは日本で発見された状態のいいコピー・プレスからのオリジナル・ミックスです。さて、長年Henry Cowは聴かねばなーと思っていた私ですが、その動機の源流はどこにあるのでしょう。多分高校の頃に聴いたSlapp Happy、あとはメンバのFred Frithあたりでしょうか。正直Henry Cowから影響を受けた云々と語る作家を私は知らないので、ある種多様なメディアの情報に踊らされたミーハージャンプだともいえる。Frank Zappaに飛びついたのに近い。本作はそんなHenry Cowの記念すべき1stである。中核となる鍵盤系のTim Hodgkinson、ギターのFred Frithに加え、ベースにJohn Greaves、なかなか定着しなかったドラマーにChris Cutlerが基礎メンバとなり、ここにCutlerと交流があったサックスプレイヤーGeoff Leighが参入。それぞれの思惑がひしめきながら本作は制作されたようです。あまりにも有名なタイトルはダブルミーニングで、「伝説」と「足の先」となる。この靴下ジャケは3部作となっており、Henry Cowといえば、なイメージですね。一聴して浅薄な知識からSoft Machineを想起しましたが、果たしてそうで、Greavesの前のベーシストがジャズ・ロックの方向性に強い影響を与えたようです。一方で単なるジャズロックじゃやだといったRobert WyattファンのCutlerの存在がHenry Cowをコンプレックスな存在にしているといえるでしょう。ジャズ、ロック、はたまた現代音楽といった去来するメンバーの興味っが溶け合うことでHenry Cowはアヴァンギャルドの冠を与えられるようになる。しかし聴けばわかりますが、思った以上に聴き良いです。陶酔感も高く毛ほどの難解さもありません。いいですねぇ、いいですねぇの連続です。各メンバの素養も高く、Frithのヴァイオリンをはじめとした弦楽器、Hodgkinsonの管楽器類の利用、他にもフルートやがちゃモノが投入され、まさに「プログレ」な一面を見せる(てか商業的なジャンルではカンタベリー派同様Henry Cowはプログレでいいんですよね?)。室内音楽という一種のクラシックに対する術語まで適用される彼らの音楽は、なかなかカテゴライズが難しい。しかしやはり本作では即興性のあるジャズの路線が強く押し出されているように思います。インストで展開しますけれども、ラストM8はボーカル曲です。ELO見たいですが、こっちの方がさすがに分裂症的です。しかしこれだけのことをキャッチーにやってしまうところに彼らがまさに伝説となった理由なのでしょう。いつも述べるように結局いくら難解前衛を叫んでも、それがポップに回収されなければ意味がないのです。そのためにもThis Heat同様これまで権利関係などでなかなか入手が難しかった状況に終止符が打たれたわけです。今はまさに彼らの時代といってもいいでしょう。やったね!