Henry Cow : In Praise Of Learning
ARTIST / Henry Cow
TITLE / In Paraise Of Learning
LABEL / virgin / ReR megacorp
DATE / 1975 / 2000
TITLE / In Paraise Of Learning
LABEL / virgin / ReR megacorp
DATE / 1975 / 2000
1433。本作をもってHenry Cowの3部作完結である。"Legend"同様オリジナルを復活させることを目的に本作はリイシューされました。オリジナルに手を加え、さらにより良い物を目指すという作り手の姿勢は高く評価されてしかるべきですが、それと同時にリスナのことを考え、オリジナルをそのままの形で入手可能にしておきたいという態度も素敵です。Henry Cowの作品が、作品それ自体の歴史として、プログレッシブであると同時に、常に原点に腰を据えているという二面性を持つことは彼らを非常に魅力的な存在にしているといえるでしょう。あらゆる創作の局面でそのような態度は賞賛されるべきなのです。オリジナルであり続けることとアップデートされ続けることとの弁証法によってよりコンプレックスな対象になるわけですね。本作は同年に発表された"Desperate Straights"と表裏をなしています。すなわちSlapp Happyの3人が参加しています。先の盤がSlapp Happy主導で行われたのに対し、本作はHenry Cowが前面に立っているという違いはありますが。メンバーにかつて在籍したLindsay Cooperも呼び戻されています。ある種この時期は両バンドの合体ユニットとなっていたわけですが、その後Slapp Happyの面々はことなる道を歩むことになる。Mooreは離脱し、Peter Blegvadは追い出され、唯一残留を許されたのがボーカルのDagmar Krauseでした。ここで当面のあいだSlapp Happyは解体することになります。それはさておき本作の内容ですけれども、2nd同様インプロ的傾向が強く押し出されています。さらに歌を獲得したことによって、言説をベースにした思想の表現が可能になったことから、ユニットはポリティカルな方向へと足を踏み出すことになる。インテリバンドによくある話といえばよくある話です。僕としてはその辺はあまり興味がないので、日本盤の解説をご覧ください。この段階にきて、彼らの表現は現実にコミットすることを要求し始めるわけですね。ジャケの裏側にはイギリスのドキュメンタリー映像作家John Ggriersonの言葉が小さく引用されています。いわく'Art IS NOT A MIRROR - IT IS A HAMMER'。この標語はこの手の作家にかなりふさわしいですね。まあ自分たちの制作をアートと呼んでしまうことで、僕なんかはしらけてしまう部分もあるのですが。全5曲。真っ赤な散り花なわけです。