Doctor Rockit : Indoor Fireworks
ARTIST / Doctor Rockit
TITLE / Indoor Fireworks
LABEL / lifelike(accidental)
DATE / 2000
TITLE / Indoor Fireworks
LABEL / lifelike(accidental)
DATE / 2000
1374。Lサイドによるレビューはこちら。現代の電子界でもエレガントでスタイリッシュさでは群を抜いてトップに君臨するMatthew Herbertによるプロジェクト。Lサイドが溺愛するその優雅さの後ろにはしっかりと変態的アイディアと丁寧さが見え隠れするために、僕としても非常に香ばしくいただくことができる。Doctor Rockitはポピュラー電子音楽史と関連付けるならば、clearレーベルに在籍していたということであろう。Meke Paradinas、Gescom、Lee Norrisらとともにしっかりと英国電子の隠れ伝説と接合されるあたり、Matthew Herbertもしっかりとオーセンティックな存在なのである。軽薄なピンク(2007年には限定盤として緑色になって発売されたようだ)によってかもし出されたこの盤のポテンシャルは見事にわれわれを裏切り、きわめて意識的に伝統的なものへとコミットしていることが確認されるだろう。それは彼が'swingtime'ということで言及する時代にほぼ一致する。数曲でボーカルをとるDani Sicilianoの参加など、他のプロジェクトとの親和性も見せており、Doctor Rockit名義の固有性が拡散している向きもあるだろう(clear時代の音を知らないのでなんともいえないが)。本作の白眉は後にセルフカバーもされているM6かもしれない。あまりのエレガントさにペニスの勃起が収まらない男性諸君は多いことだろう。細かいことだが、本作で見事なドラムを演じているAshley Marloweは本ブログで以前紹介したImitation Electric Pianoの"Trinity Neon"にも参加することになる。それを踏まえると意外にStereolabあたりと接合されていくのかもしれない。やや一貫性を欠いている全体の構成も、多様性があるという肯定的な言い換えも可能かもしれない。何はともあれ、LサイドがMatthew Herbertに与えた「ゴージャスである」という見事な形容は本作でも大いに看取されることだろう。素敵盤。