Mosaic : Yiddish & Judeo-Spanish Songs
ARTIST / Mosaic
TITLE / Yiddish & Judeo-Spanish Songs
LABEL / sub rosa
DATE / 1993
TITLE / Yiddish & Judeo-Spanish Songs
LABEL / sub rosa
DATE / 1993
1338。MosaicはAndré Reinitz、Michèle Baczynsky、Zahava Seewaldという3人からなる。Zahava SeewaldはtzadikからPsamimというユニットとともにユダヤ系フォークの盤を出しているので、結構名前が知れているのかもしれない。ここで標榜されているのは「二つの伝統、二つの言語、二つの音楽形式」。すなわちドイツ語にスラヴ語やヘブライ語を混合してヘブライ語で書くイディッシュと呼ばれる言語、そしてユダヤ系スペイン語である。この混合性がテーマになっているわけであるが、僕のように無知な人間が聴いてもまったわからない。フラメンコ独特の12泊系のリズムがギターとカスタネット、女性ボーカルで実行されるときもあれば、そこから離れてピアノでしっとりとユダヤ歌曲を聴かせることもある。イデニッシュの発音は完全にドイツ語のように感じるが、おそらく奇妙なハイブリッド感があるのだろう。よくわからない。このブログの本懐でもある珍奇さ(別にこれといった他意はない)との出会いを常に用意してくれるsub rosa。レーベル買いしないと僕の現在の嗜好からはなかなかたどり着かない各地の民謡(フォーク)系ポップスですが、提示されればされたで結構面白いものです。特に西洋のオーセンティックだとみなされてきた「正調」が奇妙にずらされる瞬間に引っかかるとき、われわれはアンビエントとしての音楽受容状態から脱却してそれに積極的コミットしていけるようになる。それは歌手の歌にあわせてわれわれがそれを口ずさむという行為に似ている。通常の聴体験ではこのようなアンビエントとしての受容が先鋭化することはないかもしれないが、それを構築してしまったとき、このような斬新なものへと開かれていかねればならない。ジャンル内での差異は見抜けないですが、ユニバーサルな耳というものを仮構するならば、本作はなかなかよくできてると思う。かなり聴かせるから。