10cc : The Original Soundtrack
ARTIST / 10cc
TITLE / The Original Soundtrack
LABEL / mercury
DATE / 1975
TITLE / The Original Soundtrack
LABEL / mercury
DATE / 1975
1342。以前紹介した盤"S/T"。今まで触れてこなかったので思い出したら買うようにしています、10cc。そして、こそそぎ、最も10ccで評判が良いと思われる盤が本作でしょう。3rdです。聴けばわかりますし、おそらくほとんどの人が聴いていることでしょうが、本作はめちゃくちゃ名盤です。いい曲しか並んでいません。かなりトリッキーに作られていますが、それをポップスに無理やり接合するやりかたに勃起の収拾がつきません。ドラマチックでメロウ、そしてねじれまくった構成と、70年代半ばにして奇跡的な作品に仕上がっているといえます。タイトルも、架空の映画を想起させるようにすることで、イギリス一流のコンセプトアルバムとして成立しております。M2"I'm Not In Love"は今でも物心ついたあらゆる日本人が各種メディアによって垂れ流されているのを耳にしているはずです。そうですあの曲は10ccなんですね。後半に行くと無茶に分厚いコーラスがバックされ、単に極上メロディでとどまる曲ではないことがわかるでしょう。個人的に本作を名盤たらしめているのは1曲目の"Une Nuit A Paris"のスキゾフレニアな趣とそれと対比的に置かれたM2への流れだと感じます。色々聴いてきたことによって、本作の驚異的なポピュラリティーの裏に潜むコンプレックスな気配りに気付く事ができます。イギリスという系譜のなかでQueenを端的に想起する部分もあったりしますが、The Beach BoysやSteely Danといった僕好みの巨人たちも顔を出しているように感じます。正直なきそうなほどの名盤です。中学生の頃、ちゃんと触っていれば僕の音楽への態度は変わっていたと思う。拍手。