Sly & The Family Stone : There's a Riot Goin' On
ARTIST / Sly & The Family Stone
TITLE / There's a Riot Goin' On
LABEL / 1971/2007
DATE / epic
TITLE / There's a Riot Goin' On
LABEL / 1971/2007
DATE / epic
1332。大傑作4thのあと、"Greatest Hits"でとりあえずの総決算を終えた後にたどり着いた新境地が本作。アメリカ星条旗が示されたこのジャケはあまりにも有名でしょう。そしてSly & The Tamilily StoneというよりもSly StoneがBrian Wilsonのような状態になりながら作り上げた作品となっています。すでに時代状況は暗い戦争世界に突入し、Sly Stoneも例外に漏れずドラッグに溺れていく。陰鬱な状態で、他のメンバを寄せ付けないようにし、レコーディングされたパートを勝手に消して自分でひきなおしたりもしたという。つまり本作は名実ともにSlyが1人で発狂しながら背負ってしまった暗がりの作品なのである。それまでの各楽器の調和はかなり後退しており、広がりもぎゅっと凝縮することで、重く、暗く、ねっとりとしたグルーブを作り出している。実をいうと僕はすでに5年近く前に本作を手に入れているので、重複してしまった。その頃ちょっとファンクでも聴いてやるかという気持ちがあったので、本作によって僕のファンク性が例示されたといえる。つまり色見本的な要素が強い。まさにこのような重いグルーブである。それゆえ"Stand!"にいたるいたるまでの諸作は僕個人にとってのファンク感とずれてしまうのである。結局、形式的な問題ではなく、質量的な問題なのだろうが。当時の僕がこの盤に与えた評価は暗い、しんどい、だるいというものだったが、今ではそのような性質が十分美的価値として独自の価値を持ちうるということを認識している。バンドとしての魅力は後退しているかもしれないが、邦題『暴動』(僕の敬愛する日本のユニット、コイルが1stにおいて'コイルの暴動'という試みを行ったのは、本作のたった4秒しかない表題曲M6に由来する)に刻まれた濃厚な時代精神と1人の男の強さは本作をヒロイックな傑作へと昇華させているのだ。濃すぎて酔うぜ。未発表音源3曲を含む4曲のボートラ付。