Muslimgauze : Vampire Of Tehran
ARTIST / Muslimgauze
TITLE / Vampire Of Tehran
LABEL / staalplaat
DATE / 1998
TITLE / Vampire Of Tehran
LABEL / staalplaat
DATE / 1998
1585。これも近く前にかった盤ですね。ようやく発掘しました。うざったい引越し準備も意外とよい効果を生み出すことがあるわけです。普段から整理しておけという話なんですが。いまさらながらMuslimgauzeの盤をレビューすることに大いなる気恥ずかしさを覚えながら書いております。MuslimgauzeがBryn Jonesというイギリス人であること、そして実は1999年に血液の病気で帰らぬ人となっていたことなどを今更ながら知ったりしました。作家名が示すように、中東におけるイスラム教がらみの思想を背景に、エスノなサウンドを採用しながら、ポリティカルで挑発的な活動を続け、膨大な数のリリースを残してこの世を去ったわけです。エスノ、電子、実験という文脈にまたがっているという点で、ある意味、ポピュラー音楽界にとってはとてもチャーミングな存在だったということが伺えます。実験といっても、フロア仕様で、しっかりとビートを確保した構成であるから、かなり聴き安いものであるし、エキゾチックな雰囲気のために、クラブにおいても一定の受容はあるだろうと想像させる。やや大味な部分もあるけれども、精緻に音色を整えているふうでもあり、なかなか厄介である。ただただ幻想的という形容を投げかけるだけで、そのあとはもう何もゆうまいと思う一方で、いやいや彼の実践におけるイスラエルとパレスチナの衝突へのまなざしはわれわれをかの地に運ばずとも、そのトリップ感覚によって例証されているのと考えることもできる。いずれにせよ、個人的にはさほど響かないとはいえ、staalplaatの看板作家であったわけであるし、本作自体Muslimgauzeの人気盤であるようだから、クラブ仕様のエスノに関心があるかたは買ってもよいのではないでしょうか。