Human Greed : Pilgrim - New World Homestead
ARTIST / Human Greed
TITLE / Pilgrim - New World Homestead
LABEL / omnempathy
DATE / 2006
TITLE / Pilgrim - New World Homestead
LABEL / omnempathy
DATE / 2006
1267。誰?てか何でこんな盤持ってんの?ジャケ買いしたのかなぁ。レーベルも知らないし。購買動機不明。タイトルにhomesteadって入ってたから買うなんてありえんあし。Human GreedはスコットランドのMichael Beggが晩年をモロッコで過ごしていたPaul Bowlesに出会うことで生み出されました。Paul Bowlesはご存知の人もいると思いますが、1910年ニューヨーク生まれでポーの影響の下、フランスに渡った後ジイドやコクトーに出会い、舞台音楽を中心に音楽家として活動します。その後執筆活動に入り、ビートニクに大きな影響を与えた作家となる。そんな文学界のデカダンスを一手に引き受けるような存在です。実際にMichael BeggがBowlesと思想的交換や交流があったのか知りません。しかしBeggはBowlesが音楽から文学へ向った動機(大雑把に言えば音楽では人間のより深い部分を表現できない)と反対の感覚を得ました。つまりBeggは音楽が人間の欲望にアプローチするのにもっとも適切だと考えたのです。といってもスポークン・ワードを含んでいるので、本当はBeggの目指したのは音楽と言葉の統合だとしなければなりませんが。言葉と音楽のどちらが人間の深層に接触できるかというのは美学的問題のように見えますが、言葉は概念を要求するので、人間に意味を理解されるということを考えれば、音楽は不可解なものとして深層に届きそうにも思えます。しかし一方で音楽は単なる刺激の連鎖として快適を提供するだけともいえる。といっても本作は、それほど真新しくないダーク・アンビエントです。比喩として「人間の欲望はこのように低く沈んでどろどろしている」ということの意味はもはや無意味でしょう。音楽としてのクオリティは高いけれども、つまるつまらないは個人的な差異の判断によります。あまり先鋭な差異がないとき、あるいはその逆で経験に即した琴線との同一性がないとき、クオリティの高い盤はそれで終わってしまいます。あ、こういう記述をすればやはり音楽は個人的な刺激というものに回収されてしまいますね。それにしてもなんでこの盤買ったんだろう?