Noam Chomsky : War Crimes & Imperial Fantasies
ARTIST / Noam Chomsky
TITLE / War Crimes & Imperial Fantasies
LABEL / important records
DATE / 2004
TITLE / War Crimes & Imperial Fantasies
LABEL / important records
DATE / 2004
1566。「半世紀以上の間、アメリカ合衆国とその指導者たちは国際政治を支配しコントロールする目的を抱きながら大いなる帝国主義的戦略を追い求めてきた。我々が選出した指導者たちはそのコストにも関わらず支配への夢に従おうとしてきたのである....」。本作は2004年におこなわれたNoam Chomskyのインタビューを収めた2枚組みです。企画したのはAlternatice Radioというところで、インタビュアーはDavid Barsamianという人です。ミュージックではまったくないですが、プロダクトとして同種の施しがなされていることを理由に取り上げてみました。少なからず青みがかった人々なら必ず横目で通り過ぎるNoam Chomskyですが、結局現在でも生成文法を説明しろという問いにうまく答えられそうにありません。彼はその分野でのある程度の功績(現在ではその有効性も認知言語学によって批判されているが。というか僕としても認知言語学のほうが親近性がある)がある一方で、現代社会における要請と必要性から積極的な政治的発言をおこなっていることで知られている。しかし彼をここまで掻き立てているのは、すでに晩年様式に達した彼の思考水準のほかに、外在的要因、すなわち9月11日のテロリズムとそれに端を発するイラク戦争が原因となっている。本作でもブッシュをアメリカの歴史上の大統領たちとの比較などを通じて文脈化することで、現代アメリカの政治的な方策を切り刻んでいく。そこで抽出される問題こそ、本作のタイトルに見える戦争と帝国主義だといえる。有体に言えば、知識人による自国批判であり、個人的にはもっとも重要な営みだと思います。現代において知識人というものがどの程度力を持っているのかは知りませんけど。そういえば、サイードも死んだし、日本では加藤周一も死にました。次は誰だろうとはらはらしながらわれわれは生きています。チョムスキーにしても実際のところそれほど長くは生きられないでしょう(といってもまだ80歳くらいか)。そのなかで現在のガザ地区での紛争など、彼を怒らせる自体はまだまだ継起している。このいらつきがチョムスキーの脳に負担をかけないことを祈るばかりです。