Glenn Kotche : Mobile
ARTIST / Glenn Kotche
TITLE / Mobile
LABEL / nonsuch
DATE / 2006
TITLE / Mobile
LABEL / nonsuch
DATE / 2006
1198。Wilcoのドラム。Wilcoに妙な糞アバンギャルド好きが集う可能的土壌を作ってしまった元凶であるフロントマンのJeff Tweedyが招き入れた新ドラマー。そもそも元はJim O'Rourke関係の盤でたたいていたKotcheですが、Loose Furを組むにあたりO'RourkeがTweedyに紹介し、それが縁でKotcheは正式にWilcoに加入するという運びになりました。Kotcheなんかは正直もっともよいポジションを確保しているとのでしょう。気持ちのよい歌ものカントリー・バンドで影で毒仕込みながらも朗らかにやりながら、一方で好き勝手に実験音楽で盤が出せるという。うらやましいと思う人も多いのではないでしょうか。O'Rourkeもそのタイプの人間だが。この盤でも1曲目からReichによる曲をカバーすることからはじめ、自身のパーカッショニストとしての打音使いを随所で散布して電子オブラートで包んでいる。まずいわけがない。舌触りが悪いわけがない。すっとのどを通る。そうしたらそうしたで、考え落ちのようにひねってくる。癖があるようでなく、妙に丹精で嫌味がない。音楽ってのはこうでなくっちゃいけない。基本的に打音で構成されているってのもおつじゃないか。打たれても打たれても跳ね返ってくるとなると、こっちもまた打ちたくなるってのが人間様なわけで、よいしょ、とやってしまう。するってえと、それもKotcheなんかは妙に巧みだからすばやくやってのけるわけだから打たれるほうも悪い気がしない。広がりにかけるってのはある意味でしょうがない部分なわけで、ヴィブラフォンをもっと多用していけばなんとかなりそうなもんだが、音階ものはできるだけわきで鳴らしときたかったんだろう。やさしい推測ってやつでして、ええ。可能性を追求するってのはいつも何かしら限界が設定されるもんだから、Kotcheはそのなかで自分を狸の金玉みたいによく伸ばしたと思うよ。次回作にはもっと期待できるんじゃないかしらん。ってんでこの辺で今日のところはありがとうございました。