Chris Clark : Clarence Park
ARTIST / Chris Clark
TITLE / Clarence Park
LABEL / warp records
DATE / 2001
TITLE / Clarence Park
LABEL / warp records
DATE / 2001
1211。2000年代に入ってさらに拡大路線を強めたwarpのひとつの収穫はChris Clarkだったといってよい。2006年にClark名義でリリースされた"Body Riddle"を視聴した限りではさらなる進化を遂げ、間違いなく現段階でも屈指の電子使いになっているのは疑い得ない。この盤はそんなchris Clarkの1stである。雪の中でこちらを振り向く子どもを捉えたジャケも強い印象を持っている。この年はwarpを語る上でchris Clarkに言及しない人間はいなかったはずだ。しかしAutechreやSuquarepusher、そしてAphex Twinのように語られないか、という疑問があるかもしれない。それはやはり、Aphex以後という文脈のなかで常に語られてしまうところにあるだろう。聴いてもわかるが、確実にAphexの影響関係にある。きれいな曲から、ざらついた曲までその傾向は現れている。いわゆるあのビートの作り方も現れている。練りこまれる加工された声。裏側に隠された叙情性。すべてがAphexのそれに近い。初期のSuquarepusherのメロディのつむぎ方まで出てくる。まさしくwarpがこの時代に送り出すべくして送り出した代替作家である。しかし、ここに注釈がつく。きわめて「優秀な」という注釈である。しかし彼なりにキャリアを積むに従ってその葛藤があるのは当然である。Chris ClarkからClarkへの変貌は、Aphex Twinという偉大なる2つの単語の連なりから遁走するためのものであった。リリースからかなりたってようやく手に入れたこの盤を聴いてみると、当時のwarpの諸作が僕の興奮を撫ぜていたことを思い出す。そのなかに参入するChris Clarkはおそらく嬉々として憧れの先人たちと肩を並べただろう。しかしそこから抜け出すということも、当然ながら彼の至上命題となるのである。このように見るとき多くの人間がChris Clarkに多大な共感を抱くだろう。そして彼はそのような自己の確立を達成したのだろうか。それはClark名義の作品を聞いてみればわかるはずだ。小編ながら先人たちとの美しい答えあわせである。良盤。