Becker & Fagen - Tempus Fugit (The Original Recordings 1968-1971)

ARTIST / Becker & Fagen
TITLE / Tempus Fugit (The Original Recordings 1968-1971)
LABEL / tko magnum music
DATE / 2002

1208。いわずとしれたSteely Danの2人、Walter BeckerとDonald FagenによるSteely Dan以前の 初期音源集です。1stが72年ですから、かなり貴重な萌芽を嗅ぎ取ることができます。というか60年代ですでに彼らの方向性は完成していたということの証左としても興味深い。刻みの聴いたリズムの作り方が特にそれをあらわしている。メロウなバラード調になると、確かに当時の潮流に飲み込まれがちであるが。M6のブルースを基調に展開される曲は展開の仕方もSteely Danのそれにかなり近い。トリッキーさも光る。曲の構成もすでに一筋縄では行かない。演奏へのこだわりも見せる。M7など、よくできたさわやかチューンの顔をしているが、まるでプログレである。パパパ・コーラスワークも微笑めましいM9でも巧の全体性を獲得している。M10も小曲ながら素晴らしいできある。Steely Danっぽくはないきもするが。通しで聴いて、何かっぽいと思ったのだが、"Sunflower"作った頃のThe Beach Boysだ、と思い至る。そりゃいいはずだ。"Sunflower"はまさに70年代の盤であるから何かしら影響関係にあっても不思議ではないが。ラストのM14ですべての楽器、そしてボーカルが調和しながらひとつの至高になるというSteely Danの真骨頂を垣間見てこの盤は終わる。天才たちは、すでに天才である、という。あとはよりかっこよく走るだけだ。