Orbital : Orbital 2
ARTIST / Orbital
TITLE / Orbital 2
LABEL / internal
DATE / 1993
TITLE / Orbital 2
LABEL / internal
DATE / 1993
1193。意外にもこのブログで紹介するのは初めてだそうで。無知と思われたらかなわんでー。初めて紹介するにはそれにふさわしいものがよろしいということで、この盤です。といっても僕はこの盤以外では"In Sides"と"The Altogether"しか持っておりませんが。いわゆるBrown Albumといわれ、日本では茶盤といわれております。何度も言及していますが、日本の某テクノドンが1993年に出た3枚のアルバムをテクノの三種の神器に認定しましたけれども、そのなかの1枚でおわします(参考:黄盤)。これでようやく僕も3種の神器を懐に抱えてテクノ好きを公言できるようになったといえるかもしれません。タイトルが示すようにOrbitalのキャリア上で2ndにあたる本作ですが、すでにHartnoll兄弟の巧みなコンポジションは確固たる成立を聴かせており、正直あるものないものすべてそそり立ちます。しびれます。フロアで聴きたいという欲求に駆られる。M3'Lush 3-1'の限りない身体へのなじみ方は古典が備えるそれであることは了解できるだろう。M6'Remind'はMeat Beat Manifestoによる曲のミックスを展開させたものである。アシッド感にまみれながら、Orbitalのシンセの技量が遺憾なく発揮される。M8のMondayのイントロも聴いたことがある人が多いのではないか。糞痺れ。そして名曲ともっぱら評判のM9"Halcyon+On+On"ではOpus IIIのKirsty Hawkshawによるボーカルが荘重さを演出する。卑近な人間にアピールするならば、攻殻などでテクノ系のアプローチを見せる菅野よう子の参照点はこのあたりにあることに注意しなければならん。全編を通じて4つ打が支配権を握り、しっかりと全体の枠組みを作り出している。この盤以降、Orbitalはより自由なリズムの探求へと向かうがそれはある種時代の要請でもあったというのはいうまでもない。ときに頭とトリで見せるボーカルをエディットして反復させた曲は明らかにReichなどに対するオマージュであり、ほほえましいコンセプトを打ち出す。とりあえず聴かなければならない名盤であり、色あせない名盤であり、アナログな機材で到達してしまった頂点としての名盤であり、とにもかくにも名盤である。Orbitalは残念ながらすでにその活動を停止し、それぞれが活動を展開しているが、これだけのものを解き放っている以上、彼らは大きな仕事をすでにやってのけたわけであり、この古典的名作をミレニアムにならせるかははなはだ疑問である以上、各人が自らの方向性で先鋭化していくというのは自然な流れではある。何にせよ、この盤を聴いて初めてわかることもあるだろう。とりあえず、買っとけ。